ふくながまさきとタカトマンダのリズム隊は「鉄壁」と言ってもいいほど緻密に仕上がっていたし、佐々木想のボーカルは渋みと深みが出て色気がさらに増していた。
でも、アンコール前のMCで佐々木は、「シャイトープは今、うまくいっていない」と言っていた。「うまくいっていない」といっても、メンバーの関係性がどうだとか、曲が書けていないとかではない。“ランデヴー”に匹敵するヒット曲が出せていないこと。9月からスタートするアルバムツアーの券売が奮わないこと。そういったバンドを巡る状況が、「うまくいっていない」。そう本音を漏らしていた。
でも、そんな今こそシャイトープの強さが証明される時だと思うのだ。
「音楽を諦めるために音楽をやろう」というマイナスからスタートし、異例のヒットを受けてもバンドの軸をぶらさずに3ピースサウンドを磨き続け、ライブでは本音で観客とぶつかれるバンド。そんなバンドが強くないわけがない。
シャイトープは“マーガリン”でこう歌う。《ロックンロール 信じていいのかい/僕はわからない今だって何もわからないでも/ただ一つ 守りたい星/それを抱えて今日も疲れた6弦をかき鳴らす》──彼らが「守りたい星」を信じて突き進む限り、ここから何度だって立ち上がって大きくなれると信じている。頑張れ、シャイトープ!(畑雄介)