オバマが今年好きだった映画リストに是枝監督の『万引き家族』を選ぶ。音楽、書籍のリストもさすがの趣味の良さ+レベルの高さ。

オバマが今年好きだった映画リストに是枝監督の『万引き家族』を選ぶ。音楽、書籍のリストもさすがの趣味の良さ+レベルの高さ。

オバマ元大統領が毎年恒例、今年好きだった映画、音楽、書籍リストを発表した。いつものことだけど、そのレベルの高さ、趣味の良さに、各メディアが湧いている。


映画のリストはこちら。(原題ではアルファベット順)
『アナイアレイションー全滅領域ー』(アレックス・ガーランド監督)
『ブラックパンサー』(ライアン・クーグラー監督)
『ブラック・クランズマン』(スパイク・リー監督)
『Blindspotting』(Carlos Lopez Estrada監督)
『バーニング 劇場版』(イ・チャンドン監督)
『スターリンの葬送狂騒曲』(アーマンド・イヌアッチ監督)
『エイス・グレード』(ボー・バーナム監督)
『ビール・ストリートの恋人たち』(バリー・ジェンキンス監督)
『リーヴ・ノー・トレース』(デブラ・グラニック監督)
『Minding the Gap』(Bing Liu監督)
『The Rider』(Chloe Zhao監督)
『ROMA/ローマ』(アルフォンソ・キュアロン監督)
『万引き家族』(是枝裕和監督)
『サポート・ザ・ガールズ』(アンドリュー・ブジャルスキー監督)
『Won't You Be My Neighbors?』(Morgan Neville監督)

『ブラックパンサー』のような大作も選んでいるが、その他は、評価の高いインディ映画が多い。私も個人的にベスト10に入れた映画が多く入っている。『ブラックパンサー』、『Blindspotting』や、『エイス・グレード』、『リーヴ・ノー・トレース』、『ROMA』など。とりわけ、『The Rider』のようなものすごく地味だが、評価がめちゃくちゃ高い、個人的にもベスト1に選んだ映画が入っているのが嬉しい。この映画をオバマが観ているだけでもすごい。

また音楽も、カーディBから、チャンス・ザ・ラッパーに、コートニー・バーネットから、H.E.R.や、Brandi Carlileなど、非常に幅広く、しかもバランスが取れているし、2018年的でもある。

And finally, my favorite songs of 2018:
Apes••t by The Carters
Bad Bad News by Leon Bridges
Could’ve Been by H.E.R. (feat. Bryson Tiller)
Disco Yes by Tom Misch (feat. Poppy Ajudha)
Ekombe by Jupiter & Okwess
Every Time I Hear That Song by Brandi Carlile
Girl Goin’ Nowhere by Ashley McBryde
Historia De Un Amor by Tonina (feat. Javier Limón and Tali Rubinstein)
I Like It by Cardi B (feat. Bad Bunny and J Balvin)
Kevin’s Heart by J. Cole
King For A Day by Anderson East
Love Lies by Khalid & Normani
Make Me Feel by Janelle Monáe
Mary Don’t You Weep (Piano & A Microphone 1983 Version) by Prince
My Own Thing by Chance the Rapper (feat. Joey Purp)
Need a Little Time by Courtney Barnett
Nina Cried Power by Hozier (feat. Mavis Staples)
Nterini by Fatoumata Diawara
One Trick Ponies by Kurt Vile
Turnin’ Me Up by BJ the Chicago Kid
Wait by the River by Lord Huron
Wow Freestyle by Jay Rock (feat. Kendrick Lamar)
And in honor of one of the great jazz singers of all time, who died
this year, a classic album: The Great American Songbook by Nancy
Wilson

映画、音楽のリストを見るにつけ、オバマが現代のカルチャーにしっかりと関わっているのが分かる。若い人にアピールしようとする政治家の戦略ではなく。もちろん、娘さんが2人とも10代というのも大きいとは思うが。でも、オバマ自身『ゲーム・オブ・スローン』が大好きで、ジョン・スノウが”死んだ”直後の新シーズンを当時の大統領の特権を使い(笑)、誰より早く見せてもらったくらいの人だ。

今の大統領は、『万引き家族』を知っている、知らない以前に、映画を1本も観てない可能性もあるし、音楽も聴いてないと思う。本だって、ツイート上の言語レベルから察するに1冊も読んでいない可能性大だ。何しろ、史上最高規模の台風が上陸する前に、「とてもとても濡れます」と言ったくらいだから。ありえねー。

本のリストには、ミッシェル・オバマが出した『Becoming』を筆頭にあげている。
Becoming by Michelle Obama (obviously my favorite!)
An American Marriage by Tayari Jones
Americanah by Chimamanda Ngozi Adichie
The Broken Ladder: How Inequality Affects the Way We Think, Live, and
Die by Keith Payne
Educated by Tara Westover
Factfulness by Hans Rosling
Futureface: A Family Mystery, an Epic Quest, and the Secret to
Belonging by Alex Wagner
A Grain of Wheat by Ngugi wa Thiong’o
A House for Mr Biswas by V.S. Naipaul
How Democracies Die by Steven Levitsky and Daniel Ziblatt
In the Shadow of Statues: A White Southerner Confronts History by Mitch Landrieu
Long Walk to Freedom by Nelson Mandela
The New Geography of Jobs by Enrico Moretti
The Return by Hisham Matar
Things Fall Apart by Chinua Achebe
Warlight by Michael Ondaatje
Why Liberalism Failed by Patrick Deneen
The World As It Is by Ben Rhodes

『Becoming』は、今年出版された自伝で、即ベストセラーになった。最近、ミッシェルはブックツアーを各都市の2万人規模のアリーナでやったのだけど、チケットはVIP席など1000ドルくらいしたのに、即完で全然買えなかった。シカゴは、オプラ、NYはサラ・ジェシカ・パーカーなどが司会進行。基本それだけのトークショーだ。例えば、トラヴィス・スコットのようなローラーコースターがあるわけでもなく、巨大LEDスクリーンがあるわけでもないのに、会場は大盛り上がりで、ロックスター並みのカリスマ性と人気だったよう。NYでは、サラに敬意を表してか、バレンシアガの4000ドルのブーツを履いてきたのもカッコいい。


最近のアメリカで行われた調査によると、ミシェル・オバマは、17年連続で1位だったヒラリー・クリントンを抜いて、アメリカで最も尊敬される女性に選ばれた。また、男性の1位は11年連続オバマだ。
https://news.gallup.com/poll/245669/michelle-obama-ends-hillary-clinton-run-admired.aspx

オバマは、最近サンタになってワシントンDCの小児病院を訪れ、子供達を元気付けていた。

一方今の大統領は、7歳の子供にクリスマスの電話して、「君は7歳だから、まだサンタを信じているの?」と言ってしまい、アメリカ中から大ブーイングを食らった。いつも嘘ばかり付いてるのに、唯一真実を語るのが、ここかい、と。この人のおかげで、2018年は、10年くらいに感じる長ーーーーーい1年だった...........オバマのリストを見て元気を出そう。

オスカーのノミネーションが発表されるのは1月22日。『万引き家族』は、アメリカのメディアにも絶賛されているので、外国語部門でノミネートされるのはほぼ確実だと思う。
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