ウィーザーの単独公演は、初期曲&カバー曲満載の至福のセットリスト! 愛に溢れた最高に楽しいライブだった。果たしてサマーソニックは?

ウィーザーの単独公演は、初期曲&カバー曲満載の至福のセットリスト! 愛に溢れた最高に楽しいライブだった。果たしてサマーソニックは?

2年ぶり、そして翌々日にはサマーソニック東京でのステージも控える中、豊洲PITで行われたウィーザーの単独ライブ。今年に入って珠玉のカバー・アルバム『ウィーザー(ティール・アルバム)』、そして鮮やかに新機軸を打ち立て、何度目かの黄金期を予感させた『ウィーザ―(ブラック・アルバム)』という2枚の作品をリリースし、新旧のファンから高評価を得ているだけに、今回の来日公演には否が応でも期待が高まる。

やはりセットリストは『ブラック・アルバム』からの曲がメインになるのだろうか、という予想は完全に覆され、終わってみればこの夜、『ブラック・アルバム』から演奏されたのは、“Can’t Knock the Hustle”のみ。初期曲満載、そして『ティール・アルバム』からのカバー曲をバンバン挟みこんで、バンド結成から27年を経た今もなお、音楽への初期の情熱が色褪せていない、どころか、さらにその衝動はフレッシュに加速していることを感じ取れた、最高に楽しくて幸せなライブだった。


1曲目からして“Buddy Holly”。この時点でこの日のモードを悟る。全編通して1st『ブルー・アルバム』、2nd『ピンカートン』からの楽曲を軸として、その合間合間に『ティール・アルバム』から6曲が演奏されるという、たぶんこんなセットのライブは今後も観ることは叶わないのではないかと思えるほどの振り切れっぷりだった。リヴァース・クオモ(Vo・G)の日本語のコミュニケーションは、とてもあたたかくて、たとえば「アコースティック」と言葉にする時も、それがしっかり日本語の発音だったりするのだから恐れ入る。

数々のカバー曲は、音源以上にその楽曲への愛が溢れていて、“Africa”で嬉々としてギターを弾くリヴァースは本当にギター好きの少年のようだし、“Take On Me”の、あのシンセリフをリヴァースがギターで弾くくだりなどは音楽への初期衝動がそのまま表現されているみたいで、思わず笑いながらも胸が熱くなる。ブライアン・ベル(G・Vo)がリードボーカルをとる“Paranoid”も、ひたすらクールだし、彼らが『ティール・アルバム』を作ることで再び手にしたものの純粋さを、このライブで直に感じ取ることができた。


ライブ後半、リヴァース以外のメンバーが一旦ステージを去るも、リヴァースはそのままステージから客席に降り、オーディエンスの間を縫ってまっすぐ最後方へと移動(その間、たくさんの人と握手を交わしながら)。サブステージ的にセットされた場所で“Stand By Me”を弾き語り、その後「たすけて、ドラえも〜ん」とステージに向かってリヴァースが叫ぶと、なんとステージから現れたのは盟友スコット・マーフィーALLiSTERMONOEYES)。スコット&リバースの日本語バージョンでの“California Kids”、そして“HOMELY GIRL”を披露するサプライズも日本公演ならではで嬉しくなる。

それにしても“Holiday”や“Pink Triangle”、そして最後の“Say It Ain’t So”でのシンガロングは、ここ数年様々な洋楽ライブを観る中で、一番の一体感と強さがあった。どれだけウィーザーが愛されているか、そしてどれだけリヴァースが日本のファンを愛していてくれるか、それを実感する瞬間の連続で、あっという間に時間が過ぎてしまった。「今日、ウィーザー(のライブの中)で一番長いかも。おめでとう。強い!」とリヴァースが最後に言っていたように、全27曲、約2時間の濃密なステージは、まさに「おめでとう」と自分に言いたくなる至福の時間だった。


果たして、明日のサマーソニックでは、どんなステージを見せてくれるのだろうか。もしかしたら、サマソニのステージで『ブラック・アルバム』を中心にした最新モードのウィーザーを見せてくれるのかもしれないし、単独のセトリをスケールの大きな会場でさらに濃密に見せてくれるのかもしれないし。個人的には最新作の楽曲をたくさんライブで聴きたい気持ちも強いのだが、昨日の単独を体験してしまったら、あの高揚感を再び、という気持ちも湧いてくる。いずれにせよ、今のウィーザーは最強。サマソニのステージ、楽しみましょう。(杉浦美恵)
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