新たな幕開けを彩る、凄絶なる福音

宮本浩次『冬の花』
発売中
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宮本浩次 冬の花
エレファントカシマシとしてデビューしてから約31年。初のソロプロジェクト始動にあたって宮本浩次は「日本には優れた『歌謡曲』というジャンルがあると思っております。私もいつかそういう歌謡曲を作りたいと思っておりました」とコメントを寄せていたが、ソロデビュー曲となるこの“冬の花”は紛れもなく、ロックも歌謡曲も突き抜けた宮本浩次という唯一無二のジャンルの在り処をたった1曲で示すに至った、凄絶な作品だ。

02年のエレカシのアルバム『ライフ』以来となるプロデューサー・小林武史とのタッグのもと、バンドサウンドとストリングスを丹念に織り重ねた壮麗なアンサンブル越しに、《泣かないで わたしの恋心/涙は“お前”にはにあわない》と女性目線で綴られる情感をこの上なく激しく美しい魂の絶唱に託してみせた宮本。渾身の歌声とともに掲げられる《わたしという名の物語は 最終章》の言葉は、常に退路を断って音楽と向き合ってきたエレカシの足跡と地続きのものだし、日本屈指のメロディメイカーとしての迫力と訴求力が、“冬の花”の全編に満ちあふれているのが何より嬉しい。(高橋智樹)
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