さらなる高みを求めて

ジャスティス『オーディオ・ヴィデオ・ディスコ』
2011年10月26日発売
ALBUM
10年一昔というけど、変転の激しいダンス・ミュージックの世界では、4年ものブランクは、それまでのすべてがチャラになるに十分な歳月だ。果たして、ジャスティスは4年前のファースト・アルバムで築きあげたものの多くを捨て去り、といって4年の間にさまざまに盛衰していったダンス・ミュージックのトレンドもまた一顧だにすることなく、まったくの独自路線を歩み出している。すべてが彼らの内発的な興味の赴くままに作られた世界。それはなにかといえば、プログレ、それも70年代前半の英国のシンフォニックなジャズ・ロックを思わせる音楽性なのだった。もはやこれは、ダンス・ミュージックとは言えないだろう。
 
もちろんファーストでの、ディストーションがかかったシンセがビリビリ言っているようなジャスティスならではのエレクトロも聴けるのだが、本作ではそうした音色へのこだわりというよりは、作曲編曲の方法やリズム・アレンジ、エディットの妙、生楽器のフレージングといった部分にフォーカスしているように思える。あるいは、ファーストでのジャスティス流エレクトロが一般化しすぎて、聴く側が慣れてしまい、サウンド上のアクセントとなりえないという事情もあるかも。その結果、これまでのような、リクツより先にカラダで感じるような本能剥き出しの快楽性というよりは、アタマの中で一旦咀嚼して聴くような構築性が強まっている。だから以前のような狂気を秘めた爆発力がなくなっていることは確かだ。だがジャスティスは過去の栄光に安住せず、明らかにひとつ上の段階にあがろうとしている。その気迫に震える11曲。(小野島大)