【10リスト】欅坂46、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!

【10リスト】欅坂46、一生聴き続けられる名曲10はこれだ!
「欅坂は、ずっと、世の中に何かを届けていくグループだと思ってるから」(『ROCKIN'ON JAPAN』2019年6月号の平手友梨奈インタビューより)――欅坂46がステージやテレビの中から私たちに見せてくれるものは「アイドルのパフォーマンス」という概念をとっくに超えてしまっている。欅坂46とは一体何か? それは、楽曲に宿る「主人公」が今この時代を生きている姿を体現し続けるメンバーの闘いの記録。少し大げさに聞こえてしまうかもしれないけれど、そんな言葉を当てはめたくなるほど彼女たちのパフォーマンスは切実で、その表現力はますます深く突き刺さるものになっている。
今回は、そんな欅坂46の楽曲の中から、特に重要な10曲を選んで紹介しようと思う。ちなみに欅坂46は楽曲単体で語れるグループではなく、パフォーマンスや映像作品、当時のグループの状況も併せて選曲した。あなたが選ぶ「10リスト」も是非作ってみてほしい。(渡邉満理奈)


①サイレントマジョリティー

2016年4月6日、欅坂46は1stシングル『サイレントマジョリティー』で鮮烈なデビューを果たした。この表題曲をミュージックビデオと共に初めて視聴した時の衝撃は忘れ難い。感情に訴えかける歌詞と力強い振り付け、センターに立つ14才の少女の鋭い眼差し――それらの要素は、欅坂46が従来のアイドルとは全く違う性質を持っていることを決定付けた。冒頭でも書いたように欅坂46の表題曲には主人公の姿があるが、《君は君らしく生きて行く自由があるんだ/大人たちに支配されるな》という歌詞はまだ主人公自身の言葉ではなく、欅坂46として孤高の道を歩み始める少女たちへ向けられたものだったのかもしれない。そしてこの呼びかけこそが、楽曲に宿る主人公の存在を芽生えさせた。

②手を繋いで帰ろうか

欅坂46はメッセージ性が強い作品を表題曲に掲げているが、カップリングもそういった楽曲ばかりというわけではない。1stシングル『サイレントマジョリティー』に収録されている“手を繋いで帰ろうか”は、青春の甘酸っぱいワンシーンを切り取った歌詞と、可愛らしい振り付けの作品。デビューシングルで正反対の2曲を並べて振り幅の大きさを提示したことは、欅坂46のCD作品の醍醐味でもあるカップリングの自由度にも繋がっている。また、ライブパフォーマンスでの菅井友香と守屋茜が繰り広げる寸劇や、メンバーの豊かな表情の変化は、欅坂46の冠番組などで観る彼女たちの無邪気な姿にも近く、微笑ましい気持ちにさせられる。

③二人セゾン

デビューから1年足らずで音楽チャートを席巻し、『第67回NHK紅白歌合戦』へ初出場を果たすなど、目覚ましい活躍を見せていた欅坂46。そんな幕開けの年を締めくくった3rdシングルの表題曲“二人セゾン”も、欅坂46を語る上では欠かせない作品だ。セゾンはフランス語で「季節」を表す言葉で、「二人セゾン」とは、春夏秋冬という既存の季節以外に訪れたもう1つの季節。主人公が心の扉を開いてくれるような誰かと共に生きた「特別な時間」が描かれているこの曲は、メンバーの当時の状況と重なる部分もある。欅坂46に入ったことで始まった少女たちのアナザーストーリー、それもまた特別な時間と言えるだろう。

④不協和音

たとえ不協和音の原因となる音符の1つになってしまっても、決して自分の正義を曲げない、妥協しない、屈しない。4thシングル曲“不協和音”は、そんな主人公の強い意志がはっきりと確立された作品だ。これによって欅坂46の芯はさらに強固になり、メンバーのパフォーマンスは次のフェーズへ突入した。《僕は嫌だ》と高らかに断言した主人公と、その姿を鏡のように映したセンター・平手の気迫に引っ張られ、メンバーの表情やダンスにも今までとは明らかに段違いな迫力が生まれた。1周年のアニバーサリーライブでこの曲が披露された時、長濱ねるが声を裏返しながら《僕は嫌だ》と絶叫した驚きは、今でも印象深く残っている。

⑤エキセントリック

4thシングル『不協和音』に収録されたこの曲は、少女特有の潔癖や疑心を感じさせるリリックが、ラップ歌唱で乗せられている。これまでの欅坂46にはない曲調だったが、解禁当初から名曲だという声が多く上がっていた。同曲のMVはまるで1本の映画のような仕上がりで、感情が大きく動かされる。木々を揺らす強風が校舎の外に吹き荒れる中、制服姿のメンバーが激しい雨に打たれながら一心不乱に踊っているシーンは、思春期の鬱屈と酔狂を描いた名作映画『台風クラブ』(1985年/相米慎二監督)のオマージュにも思える。ここで表現されている大人と子供の狭間にある「危うさ」は、この時の欅坂46だからこそ出せた世界観だ。

⑥W-KEYAKIZAKAの詩

“W-KEYAKIZAKAの詩”は、欅坂46を構成する「漢字欅」と「ひらがなけやき」という2つのグループの合唱曲。MVには欅坂46の道のりを思わせる演出や、過去曲の振り付けも含まれていて、ここまでの活動を総括する内容になっている。2018年の全国ツアー最終公演で、平手がステージから転落し病院に搬送されたことがあったが、Wアンコールで披露されたこの曲で平手は再びステージに上がった。そんなエピソードからもわかるように、同曲にはメンバーも特別な思い入れがあり、それはひらがなけやきが「日向坂46」として独立した今でも変わらない。これからも2つのグループを繋ぐ楽曲であり続けるだろう。

⑦避雷針

5thシングル曲“風に吹かれても”は、前作“不協和音”のクールなイメージから一転して、明るく軽快なリズムのダンスチューン。メンバーが笑顔でパフォーマンスをするMVも大きな話題になった。その一方で、同シングルに収録された“避雷針”は、欅坂46の本領とも言えるシリアスな魅力が爆発している作品だった。心を閉ざして暗い目をした「君」と、そんな君が気になってしまう「僕」。MVの中で、暗闇や森の中を独り歩き続ける平手には、君の孤独が投影されている。そんな平手を見つけ出し、最後には泥水に膝をついてなりふり構わず踊るメンバーの姿から伝わってくるのは、自らが盾になっても君を守るという僕の決意だ。

⑧ガラスを割れ!

6thシングル曲“ガラスを割れ!”は、欅坂46の楽曲の中で最も反骨精神が溢れ出したロックナンバー。彼女たちが歩んでいる道は決して平坦ではなく、激しいパフォーマンスや強い言葉を用いる分、体力や精神力の消耗も少なくないだろう。しかしそれも欅坂46の表現に特異性を持たせた要素で、だからこそ“ガラスを割れ!”には「アイドルが歌うロック」に留まらないリアリティーがある。また、『風に吹かれても』以降の衣装は制服チックなデザインから離れたが、これは欅坂46がすでに10代のヒリヒリした時間を思い出させる存在ではなくなったことを示しているように感じる。《目の前のガラスを割れ!》という言葉は、彼女たちと同じ時代を生きる今の私たちへ向けられている。

⑨アンビバレント

2018年の「欅坂46 2nd YEAR ANNIVERSARY LIVE」は、絶対的センター・平手が不参加の中で行われた。しかしライブ当日のメンバーのパフォーマンスは、平手不在の重圧を抱えながらも、欅坂46のフラッグを守り続ける覚悟そのものだった。そんな2周年アニラを経て、主演映画の撮影という大きな仕事を終えた平手が欅坂46に戻り、グループに漂っていた緊張感を一気に解放したのが7thシングル曲“アンビバレント”だ。《孤独なまま生きていきたい》、《だけど一人じゃ生きられない》そんな二律背反の揺れる気持ちが綴られた歌詞は、主人公が世の中に対して自分の主張を掲げるだけでなく、自身と向き合い始めていることを表していた。この変化が、8thシングル『黒い羊』へと繋がっていく。

⑩黒い羊

“黒い羊”は、衝撃的なMVも含め、今までの中で一番様々な感想や解釈が飛び交った作品だ。美しいピアノの音色が印象的なサウンドと平手の低い声で捲し立てられる歌詞、そして「のけ者」の意味を持つ「黒い羊」というワードから“エキセントリック”を彷彿するところもあるが、あの頃と決定的に違うのは、主人公の鋭い視線が自分に向いてしまったこと。ここで描かれているテーマは、群れの中にいる自分を見つめて浮き彫りになった孤独。その切なさを抱えながら《それでも僕はいつだって/ここで悪目立ちしてよう》と主人公が決めたのは、全ての黒い羊と、その気持ちがわかってしまう白でも黒でもない羊たちを抱きしめるためである。実際にこの作品は、多くの人の心を救っただろう。
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