実は、ドラマ映画の登場人物としてウォルト・ディズニー本人が描かれたのは、これが初めてだということだが、素晴らしい映画だった。
何が最も素晴らしかったかというと、初めて描かれたそのウォルト・ディズニーがまったく美化されていない、リアルでありのままの姿だったからだ。
ウォルト・ディズニーは現実が皮肉で残酷なものであることをよく知っていた。
だからこそ想像の世界に夢と希望をこめることに対して誰よりもピュアで一生懸命だった。
そのことが『メリー・ポピンズ』の原作者のP・L・トラヴァースとの悪戦苦闘のなかで浮き彫りになっていくのがとても感動的だった。(古河)