モップス

モップス

11月13日(木)のブログで書いた、下北沢シェルターのLOVE LOVE LOVEのライブ。
その中で1曲、「あ、この感じ、何かに似てる」と思った曲があった。
曲そのものが似ているわけじゃない。ギターとベースとドラムを演奏する時の感覚というか、 大昔のロックが持っていた、骨太で無骨でシンプルで、音がゴロンと放り出されるみたいな、あのゴツゴツした感じに、近いものがあったのでした。
で、なんだったか思い出した。これだった。モップス。

昨年3月に亡くなった、俳優・タレントの鈴木ヒロミツ。
彼は元々バンドマンで、このモップスというバンドのボーカリストだった。
GS末期〜ニュー・ロックくらいの時期、つまり1960年代後期から1970年代中盤あたりまで活動。
のちにアレンジャーとして大成功する星勝も、メンバーとして在籍していた。
当時、RCサクセションと井上陽水が所属していた事務所の先輩であり、その3つでツアーを回ったり、清志郎がモップスに曲を提供したりしていたという。

サイケデリックでブルージーで、でっかいタイム感と豪快なグルーヴを持ったハードロック。
当時のシーンでいうと、明らかに国内よりも海外のバンドに近い。
で。鈴木ヒロミツ(この頃は鈴木博三)のボーカルが、とにかくかっこいいったらない。
思いっきり日本語の歌詞なのに、声の張りが完全に外人。
日本のロジャー・ダルトリーだったのかも。
あと、当時でいうと、フリーのポール・ロジャース(今クイーンにいるあの人ね)とかに近い感じもある。

なお、これは1972年にリリースされた5thアルバム『雨/モップス \'72』の再発盤。
僕が知ったのは80年代の中頃。当時の僕にとっても、既に鈴木ヒロミツ=タレントという認識だったが、渋谷陽一のラジオで「幻の名盤発掘特集」みたいなのをやっていて、渋谷とゲストのスティーヴ・ハリス(ご存じない方は各自調査。アイアン・メイデンのベーシストとは別人です)が、「鈴木ヒロミツは最高」とやたら絶賛しながら、このアルバム収録の“月光仮面”をかけたのだった。
確かに最高で、もっと聴きたくなったんだけど、当時はどこにも売っていなくて、1992年にこれが再発になって、やっと買えたのでした。

なお、このアルバム、後にWAHAHA本舗を立ち上げる演出家の喰始が、4曲ほど作詞を手がけています。
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