欅坂46のアニバーサリーライブ初日を、大阪フェスティバルホールで観て

本当に久しぶりに、平手を真ん中に据えた欅のライブを観た。

やはり、この人の存在こそが、この人の引力こそが、この圧倒的な求心力こそが、他のいかなるアイドルとも全く異なる儚さと尊さと強さの根源そのものなのだろう。
あらためて思う。

センターはセンターだが、平手が立っている場所はただステージの真ん中なのではないのだと思う。
その一点を中心に、左右に広がっていく重力の均衡をはかる、あるいは、散らばる重力をつなぎとめる、ただひとつの力点なのだと思う。
欅坂46が持っている、この不均衡で、だからこそ完璧な、この形しかありえない、何かがいびつな魅力は、そんな半ば強引な求心力によって成り立っているのではないか。
だから、ここでは、一人ひとりの心のブレやあり方のいびつさがそのまま許され、ありのままに成立していられるのかもしれない。

欅坂46は本当に不思議なグループだ。
見れば見るほどに反芻、再現という概念から遠ざかっていく。
そして平手はそのパフォーマンスを何度見ても慣れさせてくれず、変わらずに心をざわめかせる。
視線ひとつひとつの意味合いが、そこに込められているものが、毎回毎分毎秒瞬間ごとに違っているし、違っていく。
そんな人を中心に置いたグループなのだから、僕たちの解釈も毎分毎秒ごとに違っていていいのだと思う。
どこか、とても思い出深いアニバーサリーライブになった。(小栁大輔)
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