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毎日、嘆くことがいっぱい。
そうじゃない人は、人ごみで歩きスマホしてても周りが自然と避けてくれると思っている人並みに鈍いんじゃないか?
でも、だからと言って眉間に皺寄せたり、俯きがちに生きていくのはヤだよね。
ヤなことと道連れに好きなことまで諦めなきゃいけなくなってしまうのは、もっとヤダ。
というわけで、そんな健全に毎日を嘆くことのできる諸君にロックというリアルなフィクションの魔法をかけてくれるのがユニゾンだ。
メロディも、アレンジも、歌詞も、すべてが一筋縄ではいかない形でできていて、これまでのロックやポップの定石から考えると情報過多じゃないかと思うくらいだが、これぐらいダイナミックに目の前の現実をスクイーズしてくれないと、逃避することなく楽天的な自分でいることはできないのである。
だからユニゾンは、本当に特別なバンドだ。
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あれからまた時代は進んで(または悪化して)、物理的に人と人がぶつかる確率が少ない状況においても、命を奪われたり奪ったりしかねない、ややこしい衝突だらけの世界になったとも言える。
そんな世界をやっぱり全力で嘆きながら、やっぱり逃げずに面を上げて生きていくためのロックをユニゾンは最新アルバム『Patrick Vegee』で鳴らしている。
相変わらずの孤高、相変わらずの情報過多、相変わらずのやりたい放題好き放題、その爆走の果てにあるのは、わりとシンプルに愛と情熱だ。
おまえら、愛と情熱が足りないんだよ。
そう世界をぶん殴りつつ鼓舞するようなロックアルバムなのだ。
というわけで、ここに来てさらにさらにUNISON SQUARE GARDENのロックがなくてはならない時代なのである。(古河晋)