そういうときのビーバーは、いつもに増して謙虚である。初めましての人に自分たちがどんなバンドであるかを説明し、丁寧に自分たちの音楽を届ける。そうやってアウェイだった空気がどんどん熱を帯びていくあの瞬間が私は大好きだ。
でも今日は、いつものビーバーのままで勝ちに行った、という印象を強く持った。
「一度はメジャーをクビになって…」という話をする場面はあったけど、「バンドを知ってもらう」ための時間はもはや必要なく、「バンドを好きになってもらう」ことにすべてを注ぐことができるくらい、SUPER BEAVERの名が大きく広がった、ということなのだと理解した。
「悔しかったからステージに立つまでは(お客さんとして)参戦もしなかった」とフジロックへの思いを渋谷龍太が語っていた。そのただならぬ熱のこもったライブが終わったGREEN STAGEでは、「ビーバーかっこよかったなぁ」という感嘆の声が至る所から聞こえてきた。
19年目にしてまだまだ「初めて」を実現していくSUPER BEAVER。その輝きにこれからも目が離せない。(有本早季)
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