最初に火がついたのは、冒頭にも書いた通りボカロP上野シュンの楽曲“hazama”をカバーしたいわゆる「歌ってみた」だが、歌唱力を誇示するようなものではなく、程よく脱力した優しい歌声がむしろ個性を放っている。
その後は、自身が作詞作曲を手掛けるオリジナル曲をコンスタントに発表。シティポップやHIP HOPを横断した思わず口ずさみたくなるメロディが、その柔らかな歌声と絶妙にマッチして一度聴くと耳から離れなくなるものばかりだ(ちなみに筆者の出会いはラジオから流れてきた“Bジャンプ”だった)。
そして、最近では“化かせ”が「家庭教師のトライ」CMソングに抜擢されたり、最新曲“月子さん”には藤井風などを手掛ける注目のプロデューサー・Yaffleを編曲に迎えたり、何かがきっかけでいつ人気が爆発してもおかしくない状況が整いつつある。その波に乗り遅れないように、今後も注目していてほしい。(有本早季)