毛皮のマリーズがツアーで新曲をやっているという。しかも『ティン・パン・アレイ』完全を再現する東京と、その他の場所では、まったくステージの内容が違う。
というわけで、浜松窓枠まで観に行った。
まず楽器のセット位置が違う。バンドを主役にした配置になっている。そして演奏されるのは、ワイルドで背徳的な初期ナンバーばかり。
一見ハチャメチャなようでいて、以前と違うのは、バンドサウンドがきっちりしているところ。それによって“クライベイビー”“ベイビー・モートン”といった楽曲のよさがキラキラ輝いていた。
毛皮のマリーズは、ずっと愛について歌ってきた。
特に初期の楽曲は、でこぼこでスマートに生きれないビューティフル・ルーザーたちへ向けたロックンロールという名の賛歌ばかりだ。
「ロックンロールとは、自分をこの世界につなぎ止めるための美しい約束だ」
と志磨は言った。
世界中が君を笑ってもぼくだけは君を笑わないよ、と各地で歌いながら、彼はこのツアーでもまた新しい約束を紡いで回ったのだろう。
一方、『ティン・パン・アレイ』というアルバムは、もっともっと普通の、名もなき生活者のための人生賛歌。
その本質はやっぱり一緒なのだということがこのもみくちゃのライヴから伝わってきた。
そして、気になる新曲は…丸裸なほどピュアで優しくて、ちょっと意外。本人も「そうなんですよ、なぜか」と意外そうだった。
写真は、ドラムの富士山がシャワー中だったので、3人。(井上)