NICO Touches the Wallsツアーファイナル、本当に素晴らしかった!


昨日は、NICO Touches the Wallsの『Shout to the Walls!』ツアーのファイナル、NHKホールへ。
素晴らしい、感動的なライヴだった。
そして、NICOがなぜ優れたポップバンドであり、同時になぜ何より優れたロックバンドなのかがよくわかるライヴだった。

彼らにとって音楽とは壁に向かって叫ぶことだ。
目の前にそびえたつ壁に向かって心の限りに、その思いを伝えようと叫ぶこと。その瞬間に生み得る中で最高のメロディを、もっとも赤裸々な言葉を、全身全霊で叫ぶこと。
つまりロックだ。

しかし、NICOにとって、その壁は打ち負かす対象ではない。
壁は彼らにとって支えだ。
光村はインタヴューでたびたび語るが、壁は寄りかかることを許してくれる。
彼らのライブはそんな壁に向かって何かを語りかけるように進んでいく。その壁に手をあて、少しずつその壁伝いに前に進んでいくように、一曲一曲、ひとつひとつのフレーズが確実に鳴らされていく。
終盤にいくに従い、その語りかけは大胆に赤裸々になっていき、そして蜜なるコミュニケーションを実現していく。
壁に手をあて、壁に向かい語りかけ、その語りかけにかえってくるひとつひとつの振動を受け取りながら壁伝いにしっかりと歩みを進めていく。
NICOのライヴはその歩みの過程だ。

壁に向かい、手を伸ばすこと。壁に向かい、思いを叫ぶこと。
それはロックな衝動だ。
だけど、その衝動はそれがロックであるのと同じくらいにまた、支えられ、支え返すこと、つまりつながりあうことへの衝動でもあるのだ。
だから、NICOのロックはロックであればあるほど、同時にポップなメロディを生み、ストレートな歌声へと進化していく。
彼らはこの日、最高にロックなステージを見せてくれた。そして、それはどこまでもポップな優しさに満ちたコミュニケーションだった。
NICOは最高のポップバンドだ。だから、最高のロックバンドなのだ。

今週リリースになった新曲”ニワカ雨ニモ負ケズ”、最高だった。
今発売中のJAPANでもこの新曲についてがっちり語ってくれてます。
写真は、その取材のときの。JAPAN傘。(小柳)
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