C.イーストウッド新作『アメリカン・スナイパー』が『アバター』を超える大ヒット記録。マイケル・ムーアもの申す。

C.イーストウッド新作『アメリカン・スナイパー』が『アバター』を超える大ヒット記録。マイケル・ムーアもの申す。

クリント・イーストウッド監督の最新作、ブラッドリー・クーパー主演の『アメリカン・スナイパー』が、週末アメリカで拡大公開。すでに1億800万ドル(約108億円)記録し、1月に公開された作品として、史上最高の売り上げを記録した。

なんとすでに今年のオスカーで作品賞にノミネートされた作品の中で、最高の記録!

通常1月に公開された作品が夏の超大作並みの興行成績を記録することは稀で、最近では、『アバター』が2010年1月の週末に6800万ドルを記録していたが、それを楽勝で超してしまった。

今作は、アメリカのネイビーシールズで、イラクにスナイパーとして派遣され、イラク軍およびアルカイーダを史上最も殺害したクリス・カイルの自伝を元に作られた作品。主演のブラッドリー・クーパーは、プロデューサーも務めたのだが、映画の制作が進行している最中に、なんとクリス・カイルがPTSDに悩まされていた元兵士に狙撃場で撃たれて亡くなるという悲劇が。未亡人の意向もあり、制作は続けられ、今作が完成した。

大ヒットを記録しているものの、中にはこの映画がスナイパーをヒーローとして賛美していると批判する声も高まっている。例えばマイケル・ムーアは、以下のようにツイート。

「僕の叔父は、第二次世界大戦でスナイパーに殺された。僕たちは、スナイパーは臆病者だと教わった。彼らは、敵の見えない後ろから撃つわけだから。スナイパーはヒーローではない。ましてや侵略軍はさらに最悪だ」

これがアメリカでは大ニュースに。

しかし、ムーアは、「僕は、スナイパーについてツイートしただけで、『アメリカン・スナイパー』を批判したわけではない」とし、フェイスブックに、さらに詳しくコメントを書き足した。
https://www.facebook.com/mmflint?fref=nf

「今週末は、スナイパーの話をしよう。(スナイパーに殺された偉大なる人〈マーティン・ルーサー・キング〉の記念日だから。)僕は自分がスナイパーについて子供の頃から教わってきたことに重きをおきたいと思う。

僕の父は、第二次世界大戦の時、太平洋の海軍第一部に属していた。彼のブラザーで、僕の叔父であるローレンス・ムーアは、落下傘兵で、日本軍のスナイパーに殺された。来月でそれから70年が経つ。僕の父はいつも『スナイパーは臆病者だ。奴らは公平な戦いを信じていない。敵の後ろからやって来て、叩きつぶす。絶対に正しくない。人を後ろから撃つというのは、本当に臆病な行為だ。撃ち返せない人を撃つのは、臆病者だけがすることだ』

それで、今日この(上記)ツイートをした。

だけどメディアは、僕がクリント・イースウッド監督の新作『アメリカン・スナイパー』について語っていると勘違いして報道した。『アメリカン・スナイパー』については一言も語っていなくて、もしそれについての僕の意見を聞きたいなら聞くべきだ。

それについては、ちゃんと意見はあるから。そして以下が『アメリカン・スナイパー』に関する僕のコメント。

「ブラッドリー・クーパーの演技は最高。今年最高の演技のひとつと言える。編集も、衣装も、ヘアも、メイクも最高だ!

あっ、だけど、クリントが、ベトナムとイラクを物語の中で勘違いしていたみたいだったのは、残念だ。

しかも、彼の映画のキャラクター達は、映画を通してイラク人を“野蛮人”と呼んでいた。

だけど、映画の中では、反戦の感情も表現されていた。

また映画の終わりも感動的だった。PTSDを患っている元兵士に、テキサス州の射撃場は銃を渡すため、それを使って、自分のことを“アメリカン・スナイパー”と呼ぶ主人公を殺してしまったわけだから。

それから、劇場の予告編も、TV予告編も最高だったと思う。

僕らはみんな、ジェシー・ジェームスの物語を教わるわけだけど、その時に、悪党なのは、ジェームスではないと教わる(彼は、犯罪者で人殺しだけど)。本当の悪党は、彼を背後から撃ったスナイパーなのだと。だから、アメリカ人のほとんどは、スナイパーをヒーローだとは思っていないはずだ。

せめて、この週末はそう思いたい。テネシー州メンフィスで、スナイパーに射殺された人のことを偲ぶ時は」

また最近ガーディアン紙も、実際のクリス・カイルがヒーローからほど遠くいかに残忍だったのかについても掲載。
http://www.theguardian.com/commentisfree/2015/jan/06/real-american-sniper-hate-filled-killer-why-patriots-calling-hero-chris-kyle

『アメリカン・スナイパー』は、オスカーで作品賞にノミネート。それは予想されていたのだが、今年はとりわけ接戦だったため、ブラッドリー・クーパーが主演男優賞にノミネートされたのは、むしろ驚きとされていた。しかし、この成績の良さで、今では彼が、オスカーを獲るか?との声を高まっている。

最新号のカットで、ブラッドリー・クーパーのインタビューを掲載。この作品の政治的なメッセージについてどう思うか聞いていますので、ぜひ読んでみてください!

日本の公開は、2月21日。

予告編はこちら。
https://www.youtube.com/watch?v=HkDUQN7mo1U
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事
公式SNSアカウントをフォローする

洋楽 人気記事

フォローする