待望のビヨンセのビジュアル・アルバム『Black Is King』だが、7月31日にDisney+ (ディズニープラス) で、日本も含め世界同時配信が開始された。この内容が素晴らしすぎる。
予告編はこちら。
https://youtu.be/69MO7yU0d70
この中から、Major Lazer,、Shatta Waleが参加した“Already"がすでにMVとして発表されている。
さらに“My Power”の映像も。
これはファレル出演のシーン。
https://twitter.com/Pharrell/status/1289400421820190722
去年公開された『ライオン・キング』にナラ役で出演したビヨンセは、それと同時に『The Lion King: The Gift』を発表したが、今回発表されたこのビジュアル・アルバムは、基本的には同作を映像化したものだ。が、ここ最近のビヨンセの作品が全てそうであるように、「事件」かというくらいの衝撃的に素晴らしい作品で、ただ感動していまう。
始まって5分くらいですぐに特別な作品と分かるので、平常心でいられなくなり、1度に100個くらいの質問が出て来てしまう。一体、誰が監督なんだ? どこで撮影したんだ? 衣装は誰が担当したんだ? 時間はどれくらいかかったんだ? 製作費は誰が出したんだ?などなど。
とにかく、こんな美しく豪華で衝撃的な映像は、今年はもう絶対観ないだろうと確信する。
あまり作品について語らない最近のビヨンセだが、この作品についてはインスタにコメントを投稿している。
https://www.instagram.com/p/CCAMxfrHjAL/?igshid=12uyi0s6gnz6o
「私はいつもだったら、作品に関するコメントは短くかわいくするんだけど、今家族と一緒に予告編を観たらすごく盛り上がってしまった。
『Black Is King』は、(お金儲けのためではなくて)愛の賜物なの。私の情熱を注いだプロジェクトで、この1年間朝から夜まで、撮影と、リサーチと、編集に費やしてきた。私の全てを捧げた作品で、それが今、とうとうあなた達のものになる。
元々は『The Lion King: The Gift』のサウンドトラックにともなうものとして撮影されて、黒人の祖先の幅広さと美を祝福するという意味があった。だけどそれから1年後に、まさかこの懸命の努力で制作した作品が、さらに大きな目的を達成するようなものになるとは想像していなかった。
2020年に起きた出来事は、今世界中の人達を歴史的な旅に向かわせたと思う。だから、この映画のビジョンやメッセージはよりいっそう意味のあるものになったと思う。私達は今みんなが安全と光を求めている。そして私達の多くは変化を欲している。
黒人が自分達の物語を語れば、歴史書には書かれていない、何世代にも渡り引き継いできた私達の豊かなソウルのあるリアルな歴史を語れば、世界の基軸を動かせると私は信じている。
だから、このビジュアル・アルバムでは、黒人の歴史とアフリカの伝統を紹介したかった。それを現代的な解釈とユニバーサルなメッセージとともに描きたかった。そこに自分のアイデンティティを見出し、レガシーを築くことがどんな意味があるのかを描きたかった。
これまでの世代から学べることや、また様々なアフリカの衣装の豊かな歴史を探求し、吸収するのに私は長い時間を費やした。この映画を作っている間は、これまでクリエイティブチームと手がけてきたその他のプロジェクト同様に、一杯一杯になってしまうこともあった。でも誇りと知識を吹き込んだこの映画を完成させるのはすごく大事なことだった。
この映画を観てみんなが、これまで計りしれない方法で世界中にインパクトを与えたこのレガシーを今後も築き上げていきたいと思うようなインスピレーションを感じてくれたら嬉しい。私達の美と反発性を見出してくれますようにと祈っている。
この物語は、“最も破壊された”人達がどれだけ“並外れた”才能を持っていたのかについて描いたもの。
(彼女のクリエイティブチームへの感謝を述べる)
そして、ディズニーの皆さんに、黒人女性にこの物語を語る機会を与えてくれてどうもありがとう。今回の経験は、より壮大な目的への確約となった。私の今唯一の目標は、みんなが家族と一緒に見て、誇りを感じてくれること。
みんな愛してる。
B」
ビヨンセがこの映画で成し遂げたことはあまりに偉大で、今ここに書くとすごく長くなってしまうので、また別の機会にしたいと思う。
ひとつだけ簡単なことを書くと、彼女はアフリカの様々な衣装を研究し、それを現代的な解釈で描きたかったと言っているけど、正に、ここで使われている衣装はすべて目を見張るものがあり、バーバリーとか、ヴァレンティノのようなコンテンポラリーデザイナーと同レベルで、黒人のインディペンデントのデザイナーや、伝統的な衣装の豪華さ美しさが描かれている。
その境界のなさが、カルチャーの祝福に繋がっていると思う。現在様々な組織が不平等をなくすことに懸命に取り組んでいるが、この映画では、そのイライラするような遅い変化が一気に実現されてしまっている。
もうひとつだけ言うと、見れば分かるけど、1曲でものすごい数の場所が編集されて使われている。だから映像がすごい情報量でめまぐるしく変わっていくのだが、1度も映像が強烈すぎて頭が痛くなることがない。それはひとえにすべてのフレームが単に美しいとか豪華だからという理由で使われているのではなくて、そこから一貫したリアルな人間性と物語が見えてくるからだと思う。
それが単にきれいなだけで空虚なMVとは全く違うところだ。間違いなくどのMVより美しくて豪華ではあるのだが。
この映画は、NY、ロサンジェルス、南アフリカ、西アフリカ、ロンドン、ベルギーで撮影され、1年かけて制作された。
ちなみに、ビヨンセの一番のファンのアデルが、ビヨンセと同じMarine Serraを着てTVの前にいる写真を投稿していた。髪をブロンドにしてウェービーにしたので一瞬誰かと思ってしまったが。
「クイーン、あなたのアートを通していつも愛されてると感じさせてくれてありがとう」
とにかく見てない人は至急見た方がいい。私はすでに3回見た。
批評の平均点を出すRotten Tomatoesのサイトでも現時点では100点満点が付いている。
https://www.rottentomatoes.com/m/black_is_king#contentReviews