タランティーノ「俺は君の奴隷じゃない」と、映画と現実世界の暴力の関係性についてコメント拒否

タランティーノ「俺は君の奴隷じゃない」と、映画と現実世界の暴力の関係性についてコメント拒否

新作『ジャンゴ繋がれざる者』が、アメリカで公開され、批評、興行成績ともに成功を収めているクエンティン・タランティーノだが、最近イギリスのチャンネル4のインタビューにおいて、映画の中の暴力が現実世界にどのような影響を及ぼしていると思うかと訊かれ、ぶち切れている。ローリング・ストーン誌によるレポートはこちら。
http://www.rollingstone.com/movies/news/quentin-tarantino-rips-reporter-im-not-your-slave-20130111

インタビューの映像は以下の通り。
http://www.youtube.com/watch?v=GrsJDy8VjZk&feature=player_embedded

インタビュアーに、「あなたは暴力的な映画を観て楽しむことと、現実世界で暴力的になることがまったく関係性ないとどうして確信できるのですか?」と訊かれ、

タランティーノは、
「そういう質問を俺にするな。俺は答えることを拒否する」とコメント。「俺は君の奴隷じゃないし、君は僕の主人でもない。俺は、サルじゃないんだ」と憤慨。

「答えたくないのは、俺はそれについて語るべきことはすでにすべて語ってしまったからだ。もし本当に俺がそれについてどう思っているのか知りたかったら、グーグルしてみればいい。俺は20年前から自分の意見をこれっぽちも変えていないから」と。

インタビュアーがさらに「しかし今日あなたの国の副大統領が映画会社と映画の暴力と現実世界の関係性について話し合いをしているわけですから」としつこく突っ込むと。

「でも俺の立ち位置については知っているわけだよな?」とタランティーノ。

「はい。映画の暴力と実世界の暴力は関係性がないと。だからなぜそう思うのかを訊きたいのです」とインタビュアー。

「だから、イヤだと言っているんだ!」「俺はこの20年間でもうそれについては何度も説明してきた」と絶対拒否の姿勢を貫き通している。

タランティーノは、アメリカのNPRで行われたインタビューにおいても、同じようなことを訊かれて、「銃乱射事件と映画を結びつけようとするのは、無礼だ」と答えている。

アメリカで今銃規制について話し合いが行われている最中なので、これについては本当に訊かれすぎて辟易しているのだと思う。

ちなみに、『ジャンゴ』含め、今年のオスカー候補になっている映画は、『ゼロ・ダーク・サーティ』にしろ、『アルゴ』にしろ、『リンカーン』にしろ、論争を巻き起こす映画が非常に多い。個人的にはインターネットだけでは語り尽くせないことを映画が雄弁に語ってみせた、という意味で、映画の素晴らしい反撃だと思っているのだが。
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