ジョディ・フォスター、功労賞のスピーチの中でゲイであることを告白。#ゴールデン・グローブ


引き続きゴールデン・グローブのハイライトですが、色々見所があったこの日のコールデン・グローブで最も話題をかっさらったのは、功労賞を受賞したジョディ・フォスターでした。

彼女は、ここ数年、監督に徹したり割と静かな存在だったと言って良いと思うのですが、この日の長いスピーチは、ジョディ・フォスターが言いたいことをすべてぶちまけた……とでも言わんばかりのパンチの効いたドラマチックな内容で、ある場面では長年噂されていて、一度は示唆したことのあるレズビアンであることを告白……と言っても婉曲的にであるのですが、さらに母親について言及した場面では多くの女優を泣かせ、また、キャリア引退かと思える発言もあったため、終わってからツイッター上がしばらく混乱していたくらいです。

内容は本来なら全部訳したいところなのですが……。

とりあえず。以下が映像です。
http://www.youtube.com/watch?v=t0umft493pg

レズビアンであることについて「私はこれまで一度も公では言ってこなかったことを今日は言うわ。私よりパブリシストのほうがナーバスになっているんじゃないかと思うけど」と言って、

「私はシングルなの!」と告白(笑)。

みんなもちろんレズビアンだと言うと思ったので、ずっこけるわけですが、

続けて、
「冗談よ。まあ、冗談でもないんだけどね。私はシングルだから。でも、今日は皆さんの期待しているような”カムアウト(ゲイであることを告白する)”スピーチにはならないと思うの。というのも、私は千年も前の石器時代からとっくにカムアウトしていたでしょ? まだ若くて非常に傷つきや安い時代に、私は信用できる友達に、家族に、仕事仲間に、そして徐々にだけど、彼女の知っている人達すべてに告白していたの」

「私は、セレブリティというものは、自分のプライベートライフの詳細にいたるまで記者会見で、またはTV番組で、明かさなくてはいけないと言われてきたわ。でも、ごめんなさい。それは私ではないの。そんな人間になるつもりは絶対にないから」

「でもそんな私を支持して欲しいの。なぜなら私を主人公にしたリアリティTVなんて絶対に面白くないから。TV番組を成立させるために、やらせでマリオン・コティヤールといちゃついたり、ダニエル・クレイグのお尻を叩いたりしなくてはいけなくなると思うの。だけど、真面目に、私は赤ちゃんの時から仕事してきたのよ。つまり生まれてからこれまでずっと人生をかけて、何かをリアルに感じたり、正直であったり、ノーマルであるように思えるために、戦ってきたわけだから、それ以外のプライバシーがどれだけ大事か分かってくれるわよね」

「これから先、誰かが振り返って、それがどれだけ美しいものだったのか理解してくれると思うの。私は3歳の時から表に出て来たの。それで十分リアリティ番組として成立しているんじゃないかしら。でしょ?」

「それで、私がこれだけ長いキャリアにおいて正気を保ってきたのは少しだけ秘密があるの。まず、誰かを愛すること。そして、愛する人のそばにいること。私がこれまでの人生で最も愛したと言える人の存在なしで、私は今日ここにいなかったと思う。それは、私の元恋人であり、心の友であり、私が20年間誰よりも愛した親友である、シンディ・バーナードよ。私は自分のこの現代的な家族をとても誇りに思っています」

さらにキャリアについては、もう引退するのではないかとみんなが混乱した発言。「(彼女を紹介したロバート・ダウニーJrに)あなたと奥さんのスーザンにはとても感謝しているの。私がもう『女優は引退する!』と言う度に、私を辞めてはいけないと説得してくれたわよね。私は女優を引退する。引退する。引退する。引退する。信じて欲しいんだけど、47年間も映画産業にいるというのは、本っ当に長いことなのよ」「だけど本当にありがとう。私は今日プロムクイーンのような気分だわ」と。

ここで一斉に女優引退すると言っているのか?と突っ込みが入ったのですが、とりあえずその後の記者会見では引退しないと言ったようで、とは言え、女優は引退するけど、監督は続けるという報道もされています。どちらなのか、イマイチ分かりません。

そしてステージママと言われていた母親について。「私に最大の影響を与えた最高の母Evelynに。ママ、あなたがその青い瞳のどこかにいることは分かっているのよ(母親は認知症)。今夜のことは理解できないことばかりかもしれないけど、でも、ひとつだけ大事なことがあるわ。それは、アイ・ラブ・ユー、アイ・ラブ・ユー、アイ・ラブ・ユー。今3回言ったから魔法のように完璧にあなたの心に届いてくれたと思うわ。そして、あなたが人生においてどれだけ素晴らしいことをしてくれたのか分かってくれたと思うわ。あなたは本当に最高の母親だったわ。もし天に召される時が来たら、今言ったことを忘れないでね」

ここで様々な女優の顔が映ったのですが、みんな泣いていました。

最後に。「チャーリー、キット(息子の名前)、分かるでしょ。お母さんは時々ダメになることがあるの。夢見心地になってしまうことがあるの。そして、今、ある時代の終わりで何かの新しい始まるのような感じがしているわ。とても怖いけど、でもすごく楽しみでもあるの。私はもしかしたらもう二度とこのステージに立つことはないかもしれない。いや、もうあらゆるステージにも立つことはないかもしれない。だけど変化というのは、愛すべきものだから。

私は、これからも物語を語り続けていきたい。人々を感動させたい。それは、世界で最も素晴らしい仕事だと思うから。ただ、これから先私は違う方法でそれをやっていくのかもしれない。これまでのように輝かしいものではないかもしれないし、または3000館で公開されるようなものではないかもしれない。すごく静かでデリケートで、犬にだけ聴こえる口笛のようなものかもしれない。それでも、壁にはきっとこう書かれているはずだわ。ジョディ・フォスターがここにいた、と。私はまだ私のままで、人に心から理解されたいと願っているし、そして、ひとりぼっちにはなりたくないと思っているから。

みなさん本当にどうもありがとう。次の50年に向けて!」

急いで訳したのでもしかして間違っている箇所もあるかもですが、その場合はすいません!

とにかく、まずジョディの話し方がいつもに増して何か吹っ切れていて力強いということと、単に感動的というのも違う、非常にパーソナルで、普通ではない、間違いなく人の心を打つスピーチだったと思います。
中村明美の「ニューヨーク通信」の最新記事