硬いのか、ヤワいのか、それともちょうどいい茹で具合なのか?
2012年に神奈川で結成されたマカロニえんぴつというバンドによる、1stミニアルバム『アルデンテ』。1月21日に発売されたばかり。
このバンド、メンバー全員現役音大生なんだそうだが、音楽の専門教育を受けている若者特有の洗練感とかスノビズムとかスキルとか、そういうのとはあんまり関係なしに聴いたほうがいいかもしれない。なにせくすぶっている。苛立っている。そして何者かになりがたっている。そんな歌ばっかり6曲、このミニアルバムには入っている。はっとり(Vo・G)の書く歌詞に漂う不安感といったらない。
《信じようとか生きようとか
守ろうとか逃げようとか
だらだらだら なんとなくだった
なら変われるのは いつになんだ?》
(“鳴らせ”)
《安心の言葉で誰か助けだしてよ
色のついた隙間を探しているんだ
ずっと探しているんだ》
(“零色”)
《なんだったっけ自分って
なにがしたいんだっけずっと
なんでこんなに寂しいんだろう》
(“なんだったっけ”)
……ね。
ごまかしたり目を背けたりせず、負の感情を逆噴射でアッパーなダンスビートに転化するのでもなく、気持ちそのままのテンションで、気持ちそのままの音を鳴らし、気持ちそのままの言葉を歌う――たぶんこいつら、他にやりようないんだろうなって思う。全然悪い意味じゃなくて、「やむを得ず叫んでいる」感じ。だから変に飾ったりおどけたりしないし、過剰な味付けもしない。それがウケるのかウケないのかとかはとりあえず二の次。俺はウケると思うけど。
僕はラストの“あこがれ”というバラードが好きです。
《なんか違うよな/だけどいいかなって/それはあり得ない/死んでるよ それ死んでるよ》。
嘘がつけないバンド、嘘がつけないヴォーカリスト。
それだけが伝わってくれば、デビュー作としてはばっちりだ。
味わい深い。