※『DOPPEL』の発売までカウントダウンしつつ、アルバムの楽曲を1曲ずつレビューしていきます。
M-9 “夜をこえて”
言葉数が多い谷口鮪の歌詞にあって、この“夜をこえて”はとてもシンプルに、いちばん大事なことだけを歌っているような印象がある。聴いていて、この曲と次の“羽虫と自販機”はひと続きのような感じを受けるのだが、それはたぶん、“夜をこえて”で歌われているほんの少しの大事なことが、いろいろなものによってかき乱され、かき消され、その結果何かを失った先で歌われているのが“羽虫と自販機”だからだ。ではその「大事なこと」とは何なのか。《だいたいはそう、孤独がそばにいてね/だいたいそれは夜にやってくるものさ》という「僕」が《わかるよ、その気持ち》と言った瞬間に人と人の関係は始まる。《光と影から繋がる僕ら/ほら長い夜をこえて》。人と人は、僕と君はどうやって繋がって《夜をこえて》いくのか。そのもっともピュアな形が、この曲には描かれていると思う。夜空を駆ける流星群のようなギターサウンドと鮪の優しい歌声が(鮪の優しい歌声、って書いていて不思議な気持ちになるなあ)、三十路のわたくしの涙腺を刺激します。
M-1 “1.2. step to you”
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M-2 “ワールド”
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M-3 “ウォーリーヒーロー”
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M-4 “MUSiC”
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M-5 “東京”
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M-6 “白夜”
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M-7 “目と目と目と目”
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M-8 “盛者必衰の理、お断り”
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