“ラヴ・ソング”や“ノイズ・ノイズ・ノイズ”…アメリカン・パンクの原点ともいうべき即効性とポップさは今聴いてもかっこいいが、この作品が一度解散し、再結成後の音、というのがダムドのとんでもないところ。
1975~6年に活動を開始し、1978年春には解散。そして、夏頃には再集結……何もかも早すぎる。
そして、17日(土)からはついに、ドキュメンタリー映画『地獄に堕ちた野郎ども』が公開される!!
先日、試写会を観てきたが、本当に素晴らしい映画だった。
モーターヘッドのレミー・キルミスターのドキュメンタリー映画『極悪レミー』を監督したウェス・オーショスキーが監督、製作、脚本、撮影、編集もすべて一人でこなしたというほぼ自主制作のような作品で、
日本ツアーに同行した際の新幹線移動などの貴重で生々しい映像や、出演アーティストのコメントの奥深さは、そこに起因してるのだろう。
キャプテン・センシブル、ラット・スキャビーズ、デイヴ・ヴァニアン、ブライアン・ジェイムス、というオリジナル・メンバーが結集する瞬間の面白すぎるエピソードや、4人の演奏がいかに強烈だったか、という証言から始まって、
ラットやブライアンが脱退する経緯、
レミー・キルミスターがサポートで入ったときのライヴ映像など、貴重な素材が盛りだくさん。
また、ロンドンSSでブライアン&ラットとバンドメイトだったクラッシュのミック・ジョーンズや、
初めてライヴでアメリカ上陸したダムドのかっこよさを語るイアン・マッケイ(Minor Threat、フガジ、彼はDCパンクのドキュメンタリー映画『サラダ・デイズ』でも大活躍!)、
ピンク・フロイドのニック・メイスン (セカンド・アルバム『ミュージック・フォー・プレジャー』のプロデューサー)、
セックス・ピストルズのグレン・マトロック 、バズコックスのスティーヴ・ディグル、ストラングラーズのジャン=ジャック・バーネル、クリッシー・ハインド(プリテンダーズ、マルコム・マクラレンは彼女をダムドの前身バンドMasters of the Backsideのヴォーカルに推薦していた)
といったパンク同世代組など、
選りすぐりのコメント陣の発言も興味深く、また心に響く。
それにしても……
オリジナル・メンバーが現役で、かっこいい演奏をしているのに、こじれにこじれてしまって一緒にやれないことが、本当にせつなくてもどかしい。
ほぼ絶縁状態となってしまったメンバー(ブライアンやラット)にコンタクトした時、監督はものすごく警戒されたが、撮影を進めるうちに、少しづず心を開いていったそうだ。
そうしたリスペクトがあるからこそ、観ていて惹き込まれる。
“ロンドンパンク史上初レコード発売!最速解散!最速再結成!まだ現役!”なダムドの素晴らしさを、この機会に再び体感したい。(井上貴子)