稀代のロック・フォトグラファー、ミック・ロック亡くなる。伝説のアルバム・ジャケットで振り返る、その偉大なる功績

稀代のロック・フォトグラファー、ミック・ロック亡くなる。伝説のアルバム・ジャケットで振り返る、その偉大なる功績 - rockin'on 2022年2月号 中面rockin'on 2022年2月号 中面

文=新谷洋子

さる11月18日、73歳の誕生日を目前にして、ひとりのロックンロール・レジェンドが逝ってしまった。もちろんミック・ロックはミュージシャンではない。だが、まさに音が聴こえる写真を撮り続けてきたこの英国人フォトグラファーを、ロックンロール・レジェンドと呼ぶことを躊躇う人は、そうそういないだろう。
 
ケンブリッジ大学在学中、LSDをキメて友人のカメラを操作しているうちに、写真の魅力に目覚めたという経緯もまた、ミックらしいロックンロールな逸話かもしれない。言語学の学位を得るも、ケンブリッジで暮らしていたシド・バレットと知り合い、彼のソロ作品『幽幻の世界(帽子が笑う…不気味に)』(70年)のジャケットを手掛けたことを機にフォトグラファーの道を歩み始める。

そして、ジギー・スターダスト期のデヴィッド・ボウイを筆頭にルー・リードザ・ストゥージズシン・リジィブロンディセックス・ピストルズと、続々ミュージャンを撮影するのだ。
 
そのスタイルはいたってシンプル。余計な演出はしない。公私の境なく長い時間ミュージシャンたちと過ごして信頼関係を築き、限りなく近い場所から、彼らのオーラとカリスマと野心を写真に封じ込めてきた。グラムからパンク、ニュー・ウェイブに至る、ロック史において最もエキサイティングで危うい時代の空気と共に。

しかも面白いことに、ボウイを含め、ミックの被写体の多くは当時、まだ知る人ぞ知る存在だったにもかかわらず、彼の写真の中では紛れもないスーパースターであり、別世界に棲むエキゾティックな生き物だった。そういう意味ではミックの眼差しは言わば予言的で、10年、20年後を見越して彼らの姿をフィルムに刻んでいたかのようにすら感じるのだ。(以下、本誌記事へ続く)



ミック・ロックの記事は、現在発売中の『ロッキング・オン』2月号に掲載中です。ご購入はお近くの書店または以下のリンク先より。

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