『スプリング・ブレイカーズ』観ましたか?
2013.06.23 17:02
先週公開されたハーモニー・コリン監督の『スプリング・ブレイカーズ』。
この前、渋谷を歩いていたら、いきなり宣伝トラックが通っていて、インディ映画にしてはありえないぐらい宣伝に気合が入ってるな、と思ったけど、個人的にもこれは絶対に劇場に足を運んで欲しい1本。
すでにディスクレビュー(http://ro69.jp/disc/detail/82038)や本誌の「編集後記」などでも紹介しているが、『キッズ』など、これまでのハーモニー・コリンの映画と同様にここで描かれているのは、アメリカの若者のリアリティ。
しかも観てのとおり、題材になっているのはサブカルやマイノリティのジレンマではなく、全米の学生が羽目を外してOKとされている春休み。
ハーモニー・コリンは、セックス&ドラッグというパーティ三昧なそんなパラダイスをファンタスティックに描きつつも、その根底にある虚無感を実にポップに表現しているのだ。
これまでになく画も美しいし、セリーナ・ゴメスやヴァネッサ・ハジェンズなど、清純アイドルを使ってるところも絶妙。
あとリル・ウェインか?というジェイムズ・フランコの演技も見逃せない。
以前、一足早く、トロント映画祭でこの作品を観た中村明美がブログで、「男子はビールをがぶ飲み、女子はおっぱいを丸出しで踊りまくりのビーチ・パーティ」が描かれているオープニング・シーンで泣きそうになったと書いていて、いったいなに言ってるんだ、と思ったんだけど、観たらわかるはず。
マジでやられる、このオープニング。
そこで一役買ってるのがスクリレックス。
このオープニングだけでなく、映画全般で彼のトラックが使われているのだが、冒頭で流れる“
スケアリー・モンスターズ・アンド・ナイス・スプライツ”の物寂しげかつアッパーな旋律こそこの映画の象徴。
まさにアメリカのナウである。
ハーモニー・コリン恐るべし。
自分も近いうち、劇場でまた体感するつもり。やっと8月号を校了(ほぼ)できたし。(内田亮)
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