このサマソニで、今のポップ・ミュージックの最前線で何が起きて、何処に向かおうしているかのリアルを僕たちは観て来たが、その集大成というか、究極の形を目撃する凄まじいパフォーマンスだった。
彼の音楽の基本姿勢であり武器でもあるポップさ、もっと開いた言葉でいうなら分かりやすさがライブになると、余りいい言葉が見つからないのだが、強力な伝達エネルギーとして増幅され、いわゆる通常の音楽のコミュニケーション以上の熱量を持って来る。
ライブの最後、誰もが感じた宗教的な高揚感、それはたまたま起きたことではなく、意図的なものであることも多くの人が感じたことだ。
ゴスペルの持つマジック、その普遍化ともいえる高揚感、それを実現したのは音楽なのだが、その音楽の概念を解体してしまうような革命的なステージだった。肯定的である事とポップである事、現在のポップ・ミュージックの巨大なテーマと正面から向き合い、それにひとつの解答を与えるパフォーマンスだった。