17日発売のアリアナ・グランデの新作『スウィートナー』! MVからその内容を読め!

17日発売のアリアナ・グランデの新作『スウィートナー』! MVからその内容を読め!

『デンジャラス・ウーマン』以来、約2年ぶりとなる新作『スウィートナー』を早くも来る8月17日にリリースするアリアナ・グランデ。しかし、先行リリースや公開された3曲以外、新作の情報はほとんど漏れてきていない。ファンとしては楽しみが邪魔されるのは不愉快なので、これは実に素晴らしいことだ。そして、まるでなにもわからないということなら、この3曲だけでこの新作の内容を占ってみようと思う。

まずその前に『デンジャラス・ウーマン』を振り返ってみると、これはアリアナにとって大きな方向転換となる意欲的な作品だった。というのも、それまでのアリアナはどこまでも育ちがよさそうで品行方正なイメージが定着しており、その殻を突き破るために制作されたのがこの作品だったからだ。愛を追求するためだったら、時には奔放で向こう見ずなことまでやってのけるという心境を、さまざまなスタイルのコンテンポラリーR&Bと、自身の磨きのかかったボーカル・パフォーマンスで披露してみせ、それはツアーともども大成功に終わった。

しかし、そのツアーの途上で起きたのが、マンチェスターでのライブ会場爆破テロ事件だった。アリアナ自身、この事件によって相当な心的トラウマを負ったと語っているが、それは、はたして今度の新作にどこまで影響されているのか。そして、前作の自由な女子としての振る舞いは、その後も続いているのだろうか。

"no tears left to cry"



とりあえず、今明らかになっている楽曲についてはミュージック・ビデオが公開されているので、それを観るのが手っ取り早いと思う。では、3曲すべてのビデオと音の印象を解説したい。

まずこの曲のタイトル、「もう涙を流し過ぎてその涙も涸れてしまった」というのは、もちろん、マンチェスターの事件とその犠牲者を思っての嘆きを表現したものだ。しかし、アリアナはそのことをそのものずばりでは歌わない。むしろ、恋に破れて嘆きに暮れる女性の心境に託して歌ってみせるのだ。

この普遍性が素晴らしいし、楽曲、メロディ、そしてアリアナの歌、その非の打ちどころのないわかりやすさ、そしてどこまでも伸びていく余韻はアリアナのパフォーマンスの最高傑作のひとつといっていい。きっと、名曲として名を残すはずの曲だ。ビデオは主人公が抱える不安定さをどこまでも追っ駆けていく作りで、アリアナの可憐さがひたすら際立つ必殺ものとなっている。


"God Is a Woman"



これは前作で見せたアリアナの奔放な恋愛観からさらに官能の世界に踏み込んでいく楽曲。次から次へと脱皮していくアリアナの進化形を見せつけられる内容だ。

「神とは女性だ」というと、ひところのフェミニズム的な感じもしないでもないが、これは歌い手の女性のパートナーの彼が、ふと顔に見せた表情を女性の側から言い表したものだ。その過程の描写がまったくいやらしくないのに、ものすごく官能的なところがアリアナの歌詞の素晴らしいところで、前作からさらなる飛躍を遂げたことを見せつける曲でもある。

ビデオもまた、アリアナの官能性の新たなステージを描き出すものになっており、刺激的であると同時に、アリアナの成長を窺わせるものになっている。


"the light is coming feat. Nicki Minaj"



この曲は、以前からファレル・ウィリアムスがほのめかしていたコラボレーションで、ニッキー・ミナージュが客演しているトラック。これもまたマンチェスター事件を想起した曲で、奪われたものをすべて光とともに取り戻すというテーマが歌われている。しかし、これもまた"no tears left to cry"と同様に、具体的に事件について触れることはなく、むしろプライベートな出来事の中で思い至ったことなどを思わせる歌詞になっており、事件のこととも個人的な出来事とも取れる、普遍的なテーマをメッセージとして歌い込んだ曲だ。

ビデオは真夜中の森の中を遊び回るアリアナの姿がとても印象的で、これもまた今回のアリアナの官能性の新たなモードとなっている。その一方で、この曲の最も重要なモチーフとなるメッセージをアリアナにラップさせてみせたファレルの手腕もさすがだ。

というわけで、間違いなく前作からテーマ的に、大人の女性として、またテロ事件を乗り越えて、さらに踏み込んだ表現に向かった作品になっているはずなのだ。(高見展)



『スウィートナー』の詳細は以下。


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