祝再始動!「UKロック史上最も過小評価されたバンド」、ザ・キンクスの影響を受けたアーティストを一挙ご紹介!

祝再始動!「UKロック史上最も過小評価されたバンド」、ザ・キンクスの影響を受けたアーティストを一挙ご紹介!

2018年も残すところあと2か月。そろそろ1年を振り返るモードに入りつつある今日この頃ですが、今年、予想外に大きな反響を呼んだニュースと言えば、「ザ・キンクスの再始動」ではないでしょうか。
https://rockinon.com/news/detail/177503

いや、もちろん嬉しいニュースだったし、ついにレイ&デイヴ・デイヴィス兄弟が仲直りして一緒にスタジオに入ったことは本当に喜ばしいことでもある。でも、本国イギリスやアメリカでの盛り上がりは当たり前として、ここ日本でも音楽系以外の一般メディアまで再始動のニュースを速報していたのには少し驚いてしまったのだ。キンクスって、こんなに人気があるバンドだったのかと。

キンクスはしばしば「UKロック史上最も過小評価されたバンド」、「世界初のインディ・バンド」などと形容されてきたバンドだ。同時代のビートルズストーンズとの比較は言わずもがな、キンクスが後世に与えた影響の大きさを思えば確かに彼らの知名度と評価は今なお十分ではない、いや不十分すぎるだろう。

と言うことで、ここでは再始動を祝ってキンクスの影響を受けたアーティストのごく一部をご紹介。


自身のフェイバリッド・アルバムとして、常にキンクスの『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』(1968)を挙げることを忘れないのはご存知ノエル・ギャラガー

彼がオアシスのラストツアー中に同アルバムを聴きまくっていて、解散によって幻と消えたオアシス新曲について「キンクスっぽい曲になる」と語っていたのは有名な話。最新作『フー・ビルト・ザ・ムーン?』収録の“Soldier Boys And Jesus Freaks”についても「キンクスっぽいっていうか『ヴィレッジ・グリーン』だよなコレ」と種明かし。

彼のキンクス愛はオアシス時代から不変で、「キンクスほど過小評価されたバンドは他にいない。レイ・デイヴィスはメロディ・メイカーとして天才」と言い続けている。

キンクス愛ではリアム・ギャラガーも負けていない。レイ・デイヴィスに「お兄さんと仲直りしなよ」と言われ、「あんたたち兄弟が仲直りしたらするよ」と返したリアムだけに、今の心境やいかに?

ちなみに『アズ・ユー・ワー』収録の“Chinatown”には、キンクスの“Sunny Afternoon”へのオマージュと思しき一節が含まれている。

身も蓋もなく言えば、キンクスは「ブリットポップの父」であり、オアシスやブラー他、あの時代のバンドは皆彼らの影響を受けているし、それはアークティック・モンキーズからブロッサムズまで時を超えて脈々と受け継がれる「Made In Britain」印の大元のようなもの。

中でもブラーとキンクス、そしてレイ・デイヴィスとの交流の歴史は長い。

1992年の悪名高きブラー初のUSツアー中、ホームシックにかかったデーモンが、ホテルのベッドの中でずっと“Waterloo Sunset”を聴き続けていたという泣けるエピソードも。ブラーがグランジ直下のアメリカで直面した試練、その最中でデーモンがキンクスが象徴する英国性を再発見すること無くして、ブリットポップの号令たる名作『モダン・ライフ・イズ・ラビッシュ』が生まれなかったのは間違いない。

そう、とにかくブリットポップ以降のUKロックにキンクスのDNAが組み込まれているのは自明すぎるので、むしろ改めてここで紹介することもないだろう。キンクスがすごいのはむしろその他の時代、ジャンル、アーティストへの影響力だ。

その活動期間の長さに加えて、時代によって音楽性を変遷させてきたキンクスだからこそ、彼らの音楽の影響は広範囲に行き渡っている。キンクスはザ・フーと並ぶ元祖パンクスであり、80年代のUSメタル、ハード・ロックから90年代のエモやポップ・パンクまで、彼らのギター・リフとメロディセンスは至る所でオマージュされ続けている。また、中期の作品は、グラム・ロックやパワー・ポップやネオ・フォーク系のアーティストにとっての重要な参照元だ。

ちなみに「嫌いなキンクスの曲なんて一曲もないよ」と言ったのはかのデヴィッド・ボウイだった。ボウイも『リアリティ』(2003)の時代に“Waterloo Sunset”をカバーしています。
https://youtu.be/dCJpaWCiYUY

ラモーンズマーキー・ラモーンは自身のフェイバリッド・ソングの一曲としてキンクスの“All Day and All of the Night”を挙げている。マーキー曰く「この曲のデイヴ・デイヴィスのギターこそがパンクの原点」。

メタリカからスコーピオンズまで、“All Day and All of the Night”はメタル系のバンドたちが好んでカバーする1曲でもある。

ザ・ジャムの“David Watts”のカバーは名盤『オール・モッド・コンズ』に収録されていることもあって、キンクスのオリジナルに匹敵する知名度に。
https://youtu.be/CTBl-Xq2auY


オリジナルに匹敵する知名度のカバーといえばヴァン・ヘイレンの“You Really Got Me”も外せない。というか“You Really Got Me”、古今東西のバンドにカバーされすぎ。
https://youtu.be/9X6e7uctAww


また、「グリーン・デイの“Warning”はキンクスの“Picture Book”に流石にそっくりすぎるのでは?」問題は、両バンドのファンの間で長らく(?)議論されてきたテーマだ。

ウィルコヨ・ラ・テンゴもキンクスとレイ・デイヴィスを愛してやまないバンドで、ウィルコはしばしばライヴで“Waterloo Sunset”のカバーを披露している。個人的にはビッグ・スターの“Till The End Of The Day”のカバーも外せない。選曲のセンスがアレックス・チルトンすぎてたまらん!
https://youtu.be/QsZEq524YH4
https://youtu.be/yGkUwSiJ7VQ

また、2001年にはかのSub Popがキンクスのカバー・トリビュート・アルバム『Give the People What We Want: Songs of The Kinks』をリリースしている。マッドハニーマーク・ラネガン他、多くのネオ・ガレージ、USインディ・ギター系のバンドが参加、どのカバーもリスペクトとファン心理がだだ漏れの最高のコンピだ。今では入手困難ではありますが、レコ屋でディグる際には心に留めておいてほしい一枚です。
https://youtu.be/l4zcEy0IA_U

10月26日にはノエル兄の心の一枚にして超絶名盤、『ヴィレッジ・グリーン・プリザヴェイション・ソサエティ』の50周年記念盤もリリースされています。ビギナーの方はまずはこちらから、偉大なるキンクスを紐解き始めてみてはいかがでしょう。(粉川しの)
https://rockinon.com/news/detail/179282
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