遂に日本初上陸を果たす「Download Japan 2019」。注目すべき全10アクトの見どころを徹底解説!


約7万人を集める英メタル・フェス「Download Festival」の日本版として、まもなく「Download Japan 2019」が初開催される。本国・イギリスでは野外フェスという形式で3日間行われ、過去には05年に出演したTHE MAD CAPSULE MARKETS以来となる「Download Festival 2014」のメイン・ステージにCrossfaithが登場し、大きな話題を呼んだ。

個人的にはスリップノットミューズキッスがヘッドライナーを務めた「Download Festival 2015」に3日間参戦し、ドラゴンフォースのライブにBABYMETALが飛び入りした貴重な瞬間を目撃したり、また、現地のファンを熱狂させたMAN WITH A MISSIONの奮闘ぶりも忘れられない。

今回の「Download Japan 2019」は屋内という形になるけれど、あの伝説的なメタル・フェスがここ日本にやって来るというだけで興奮を抑えられない。既にタイム・テーブルも発表されており、BLOOD STAGE、TEARS STAGEの2ステージ制(※今回は対面ステージになっている)を敷き、演奏時間に被りもないので体力に自信があれば全10アクトを堪能できるのも嬉しい限り。

ただし、最終ラインナップが確定するまでにハラハラドキドキの展開が待ち受けていた。周知の通り、ヘッドライナーで出演する予定だったオジー・オズボーンが体調不良により、急遽キャンセル。オジー&ザック・ワイルド(G)のタッグ復活に狂喜し、両者の火花散るケミストリーを楽しみにしていた人も多かったはず。しかし、そのオジーの穴をジューダス・プリースト、ゴーストが埋める形で無事に開催される運びとなった。

ここでは今回の出演ランナップをタイムテーブル順に紹介しながら、各バンドの見所について解説したい。まずはニュージーランド発の気鋭4人組、ライク・ア・ストームだ。彼らはディジュリドゥ(アボリジニの楽器)を取り入れていることから、「ディジ・メタル」とも呼ばれている。音楽的にはアルター・ブリッジに通じるメロディアスなハード・ロックを掲げ、そこにスクリームやモダンなヘヴィネスを織り込んだダークかつトライバルな音色が特徴的。今回が初来日となるので、これは絶対に見逃せない。

次はスウェーデン発のエレクトロ/メタルコア・バンド、アマランス。エリーゼ・リード(Vo)嬢を含むトリプル・ボーカルを武器にしているのだが、男性シンガーに交替があり、17年にニルス・モーリン(Vo)が新加入。現6人体制でどんなライブを披露するのか、そこに注目したい。


そして、「Download Festival 2015」に続き、今回唯一の日本代表として登場するMAN WITH A MISSION。昨年11月には阪神甲子園球場にて4万5000人(!)を集める単独ワンマンを大成功に収めたオオカミたち。大舞台でさらに力を蓄えたパフォーマンスに期待したいところ。それから男勝りのパワフルな歌唱力を発揮するリジー・ヘイル(Vo)嬢擁する4人組、ヘイルストーム。過去にホワイトスネイクの“Still Of The Night”、スキッド・ロウの“Slave To The Grind”を含むカバーEPも積極的に発表。その選曲を見てもわかる通り、80'S、90'Sのハード・ロック/ヘヴィ・メタルの縦軸を継承した骨太サウンドは幅広い層のリスナーを射抜く破壊力を持っている。ライブでさらに牙を剥く歌声と演奏は必見だ。



続いてここ日本でも高い人気を誇るアリッサ(Vo)嬢率いるアーチ・エネミー。ド迫力のデス/グロウル・ボーカルを放つアリッサの存在感もさることながら、テクニカルかつキャッチーな曲調は、この手の音が苦手の人をも振り向かせるポピュラリティを堅持している。メロデスというジャンルを越境した強靭なパワーを爆発させてくれるだろう。


さあ、次はスラッシュメタル四天王の一角を担うアンスラックス。彼らの場合はスラッシーなリフはもちろん、フィジカルに訴える強烈なビートに加え、シンガロング必至のわかりやすい歌メロを配した名曲を多数持っている。ゆえに楽曲を知らない人でも心底楽しめるに違いない。


そして、「SUMMER SONIC 2014」以来、約4年半ぶりに来日するゴーストは今回の要注目バンドの筆頭株。16年にはグラミー賞「最優秀メタル・パフォーマンス」を受賞、昨年出た最新4thアルバム『プレクウェル』は全米アルバム・チャート初登場3位を記録、今年はメタリカのスタジアム・クラスを回るヨーロッパ・ツアーのオープニング・アクトにも抜擢されるなど、名実共にビッグ・バンドとなって日本に戻ってくる。シアトリカルなステージ(※セットを持ち込む可能性もあり)とダーク&ポップな魅惑の楽曲群が作り出す独自の世界観を披露してくれることだろう。


次は「SUMMER SONIC 2017」でも盤石のパフォーマンスを見せたサム41。06年に一度脱退したメタル・ギタリスト、デイヴ・バクシュ(G)が15年にカムバックし、現在は5人編成で活動。ここ日本でも揺ぎないファン・ベースを築いている彼らだけに、パンキッシュかつソリッドな珠玉のナンバーを乱れ打ちしてくれるに違いない。


残すは両ステージのヘッドライナーを務めるスレイヤーとジューダス・プリーストの2組。どちらも持ち時間は約90分ずつ設けられ、これはほぼフル・ショウに近い時間設定と言っていい。まずスレイヤーは過去に何度も来日しているものの、今回は「FINAL WORLD TOUR」と銘打たれたツアーの一環ということもあり、これが最後の見納めになる可能性大。アンスラックス同様、スラッシュメタル四天王の一角を担い、常に鉄壁の演奏力で観る者をなぎ倒すスレイヤーの勇姿を目と心に深く焼き付けたいものだ。


最後は昨年11月にジャパン・ツアーを行ったばかりのジューダス・プリーストが約4ヶ月という最短スパンで帰って来る。前回のツアーは岡山市民会館と武蔵野の森 総合スポーツプラザの2公演を観てきたが、ロブ・ハルフォードの空を切り裂く超絶ハイトーン・ボーカルは絶品。その両脇を固めるリッチー・フォークナー(G)、パーキンソン病を患ったグレン・ティプトン(※東京公演のみ数曲で参加)の代役には最新作『ファイアーパワー』のプロデューサーを務めたアンディ・スニープ(G)が務め、プリースト・サウンドを頑強に支えていた。

もしかすると前回のツアーとは趣向を変え、意外な楽曲をセットリストに組み込むことも十分にあり得る。今年結成50年を迎えるメタル・ゴッド、その記念すべき節目のステージングは見逃せない。(荒金良介)


「Download Japan 2019」の詳細は以下。

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