生と死と向き合うために

ACIDMAN『有と無』
2014年11月19日発売
ALBUM
ACIDMAN 有と無
これはスケールの大きな曲とサウンドで構築された心の大作だ。タイトルは絶対的な対比、あるいは二者択一を思わせるが、例えば「有理と無理」あるいは「有限と無限」と一文字加わると全く意味が変わる。生と死も、ひとつの価値観では計れない途轍も無い重さを持ったものだ。涙を赤裸々に見せたPVが衝撃的な“世界が終わる夜”で大木伸夫(Vo・G)は、終末の後も残るものを歌っている。消えて行く命が残すものは何か。かたちを無くしても誰かの中に記憶が有り、命は次へと受け継がれる。『EVERLIGHT』『Stay in my hand』と光を目指して進んで来た3作連続シングルは、ここに辿り着くまでの道標だったのだ。“世界が終わる夜”と対を成すように命の始まりを歌う“永遠の底”を起点に、本作はその道を辿る。、楽園を追われたのは原罪ではなく新たな旅立ちと捉え力強く歌う“EDEN”、新しい命への祝福となる“ハレルヤ”、そして“最期の景色”に見えるのは抱きしめるべきものを抱く至福だろうか。心穏やかに生と死と向き合う達観を抱くには時期尚早だが、答えはきっとその先にある。(今井智子)
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