四つ打ちダンスロックの元祖とも言うべきTRICERATOPSによる約4年ぶりのアルバム。彼らはデビューから17年、オリジナルメンバーのまま活動を続けているスリーピース・バンドだが、そのキャリアや抜群のグルーヴに甘んじることなく、ロックがフレッシュな高揚感をもたらす為の進化をストイックに追求し続けている。
1曲目“GRRR!GRRR!GRRR!”における、野性味溢れるダイナミズムを音に感じさせながらも、それを裏付ける繊細なコーラスやタイトなリズム、軽やかに聴く者のテンションを上げていく言葉のチョイスとメロディが絶妙。“HOLLYWOOD”のように1本の映画みたいな素敵な景色と物語を数分間に凝縮した楽曲も多く、どことなく哀愁を感じさせながらも甘さを忘れない、そのさじ加減も実に見事。「君」をレコードに喩えた“虹色のレコード”の歌詞にもハッとさせてくれるような仕掛けがあったりする。好きなことを好きでい続けることに日々、真摯に向き合っている彼らだからこその新たなフレーバーと職人気質なこだわりが美しく渦を巻く。（上野三樹）