もうえのぴょんとか言ってないでさ

ゲスの極み乙女。『ロマンスがありあまる』
2015年06月17日発売
SINGLE
ゲスの極み乙女。 ロマンスがありあまる
川谷絵音という人はつくづく「不幸」な男だなと思う。彼の曲を聴くといつもそう思う。満たされない、フラストレーションから解放されない、そういう生き方の人なんだなと。そしてだからこそ、彼の生み出す音楽は素晴らしいんだなと。コカ・コーラのCMでガンガン“私以外私じゃないの”が流れる中、早くも届いたニューシングル。いいじゃんそんなに急がなくても、と思いながら聴くと、切なさを帯びたちゃんMARIのピアノリフと、ほな・いこかの冷徹なシンバルフィルが、目の前を焦燥感をもって走り過ぎていく。そして絵音はそこでこう歌うのだ。《ロマンスがありあまるから/死に物狂いで生き急いでんだ》――ゲス物語第一章とでもいうべきサクセスストーリーの先で、川谷はまだまだ尽きることのない欲望に翻弄され、途方に暮れながらもその「ロマンス」に殉じている。このシングルに収録された3曲、どれもそうだ。一歩進むごとに新たなフラストレーションが発生し、それを貪って曲を生む。川谷のそのシリアスな本性に、みんなもっと気づいたほうがいい。ヤバいんだよ、この人。(小川智宏)

“ロマンスがありあまる”のミュージックビデオはこちら。
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