変化と環境

凛として時雨『es or s』
2015年09月02日発売
MINI ALBUM
凛として時雨 es or s
凛として時雨が初海外レコーディングの場として選んだのがベルリン、しかもハンザ・スタジオだったと聞いて興味を掻き立てられた。何しろここはデヴィッド・ボウイのベルリン3部作を筆頭に錚々たるポストパンク、ニューウェイヴの名盤がレコーディングされたスタジオだからだ。U2の『アクトン・ベイビー』もここで録られている。イメージとしては、転機を迎えたアーティストが音楽性をより尖らせていくタイミングでしばしば使ってきたスタジオなわけだが、彼らはそんな歴史的背景にはあまり拘りはなかったようだ。しかし結果として、本作には予想以上の変化が刻まれている。かつての彼ら3人のアンサンブルは、抜きつ抜かれつしながらも一方向に向かって並走する感覚だったが、本作では3人が好き勝手な方向に駆け出し、時に衝突し、再び飛散し、広大な空間の中で自由に跳ね動き回っている。そしてどの曲も、最も大きく変貌したピエール中野のドラムスのグルーヴに「吸い込まれる」ような、漆黒のカオスの中を微かに漏れる出口の光を見つけて突き進むような、収束のカタルシスがあるのが凄い。(粉川しの)
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