“変化するボウイ”の真骨頂

デヴィッド・ボウイ『フー・キャン・アイ・ビー・ナウ1974-1976』
発売中
ALBUM
デヴィッド・ボウイ フー・キャン・アイ・ビー・ナウ1974-1976
デビューからグラム期までを収めた『ファイヴ・イヤーズ 1969-1973』の続編として、その後の激動の3年間(所謂アメリカ時代)を詰め込んだ12枚組CDボックス。『ダイアモンドの犬』、『ヤング・アメリカン』、『ステイション・トゥ・ステイション』、つまり、グラム→ソウル→ニュー・ウェイヴへの音の変化がとにかく鮮烈。「二度とツアーをやりたくない」と宣言した『ダイアモンドの犬』ツアーと、マネージメントを独立し、新たなメンバーと出会った76年の絶好調ライヴを聴き比べられるのも嬉しい。勿論、最大の聴き所は、『ヤング・アメリカン』の土台となる未発表作『ザ・ガウスター』。プロデューサー的視点が入る前の、いちミュージシャンとしてソウルという新しい音楽に熱中するボウイの姿が生々しく、ファンにはたまらない。また、『ダイアモンドの犬』で描いた暗黒の未来図で映画『メトロポリス』を引用していた彼が、ソウルを経過し再びブレヒト劇という20年代ドイツ(そして次はベルリン)へと螺旋を回っていく様も興味深い。前ボックスは、ロック・スターとしてのボウイの進化を満喫、今作はアーティストとしての彼の心の旅を共有できる宝箱。(井上貴子)
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