マシーンを凌駕するヒューマン

ショバリーダー・ワン『エレクトラック』
発売中
ALBUM
ショバリーダー・ワン エレクトラック
基本的に「演奏・プロダクション他すべて自分でやる(=そっちの方が楽だから)」なソロ気質で知られるスクエアプッシャーが、4人組の本ユニットを送り出したのは2010年のこと。その当時は「コンセプチュアルな『架空バンド』では?」との憶測も飛んだが、2015年のライヴ・デビュー以来、このダフト・パンクを思わせる謎の覆面グループはウェザー・リポートやCTIレコーズばりの豪腕プレイで現実のシーンを圧倒してきた。「瓢箪から駒」とも言いたくなるが、どっこい:到着した本アルバムはジャズ/フュージョン/ドラムン・ベースの要素が強いスクエアプッシャー初期作を中心とする名曲群を生バンドで再解釈し、ダイナミックなヘヴィ・ジャムへ翻案し直している。EDMアクトのバンド回帰、あるいはクラシックやジャズ勢によるテクノのカヴァーという双方向の流れが交錯している現状に当事者が真っ向から応えてみせた試み、と言えるだろう。

この人はひとつの表現の「型」に長く留まらないタイプでもあり、4月のショバリーダー・ワン来日公演は(もしかして)最初で最後? ソロ・ベースもいいけど、バンドで火花を散らす光景は別格なのでお見逃しなく。(坂本麻里子)
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