余裕貫禄の大人ソウル

ポール・ウェラー『ア・カインド・レボリューション』
発売中
ALBUM
ポール・ウェラー ア・カインド・レボリューション
オープナーの“ウー・セ・ママ”が、のっけから女性コーラスやオルガンをフィーチャーしたグラマラスなソウル・チューンで、一気にスタイル・カウンシル中期〜後期のムードが蘇ってくる。その後はソウルにロックやハウス、ジャズを混ぜ込んでいくウェラーお得意のパターンで、スタイル・カウンシルよりもむしろソロ初期、つまり『スタンリー・ロード』でUKロック界の正統レジェンド道に返り咲く前の、少しマニアックなヴィンテージ・サウンドをやっていた時代の彼を彷彿とさせる。近年定番のファンク・グルーヴも、性急にスクエアに絞っていくのではなく、ストリングスや3拍子の余裕も含ませた貫禄のある構造で、だからこそ“ワン・ティアー”のようにボーイ・ジョージの艶声がマッチするナンバーも生まれている。メロウなジャズのリズムにボサ・ノヴァ風コーラスを忍ばせ、さらにロバート・ワイアット(!)のトランペットをフィーチャーした“シー・ムーヴス〜”が出色の出来。全体的に温かくリッチな大人ウェラー作であり、そんな中でストライプスのジョシュが精一杯背伸びしたブルース・ギターを披露しているのも注目です。( 粉川しの)
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