どこまでもクリアーなおぼろ月

ザ・ビートルズ『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド―50周年記念エディション―6枚組スーパー・デラックス【完全生産限定盤】』
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ALBUM
ザ・ビートルズ サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド―50周年記念エディション―6枚組スーパー・デラックス【完全生産限定盤】
ロック史上最高傑作ともいわれる名盤の初のステレオ・リミックス。もちろん、50周年記念としての特別企画でこれまでのミックスを否定するものでもなんでもない。ただ、この音源が材料として今揃っていたら、どのようなミックスになっていたのかということを現実にやってみせたものだ。バキバキな、あまりにパワフルな音像にただもうたまげてしまうという作品になっている。そもそもこのアルバムは4トラックだけでここまで多様な音を詰め込んでいたのだから、それこそがあまりに過剰な奇跡だといってもいいのだ。では、現代的な新ミックスになるとどこがいいのかというと、文句なしにリンゴ・スターのドラム。もともとポール・マッカートニーは自分のベースを常に作業の終盤で収録して強調しがちで、リンゴのドラムはどうしても初期段階に録らざるを得ないので潰れる傾向にあったのをここまでリズム・セクションを際立たせてみせているのがリミックスの醍醐味なのだ。しかし、この音像でリリースされていたら、今のような感動作になっていたのかというとその限りではない。その事実を検証する意味でも感慨深い音源集。 (高見展)
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