15年後の壮絶なる新章

ザ・ユーズド『ザ・キャニオン』
発売中
ザ・ユーズド ザ・キャニオン
オリジナル・メンバー:クイン・オールマン(G)脱退→ジャスティン・シェコウスキー加入という変革を経て生まれた、ザ・ユーズドの3年ぶり7thアルバム。ジョン・フェルドマンを迎えた前作『イマジナリー・エネミー』での紅蓮のエモーション炸裂サウンドとは一転。ロス・ロビンソン(コーン、スリップノットetc.)のプロデュースによるタイトに抑制の効いたサウンド・メイキング、ジョージ・オーウェル『一九八四年』的な世界観を彷彿とさせる“Cold WarTelescreen”をはじめ、ポスト・ハードコア・ブルースとでも呼ぶべきタフで深遠なトーンに貫かれた2枚組・全17曲。

リード・シングル“OverAnd Over Again”の極彩色ポップの狂気から“The Quiet War”の切迫した音像へ流れ込む瞬間の戦慄必至のスリル。“The Nexus”での、ピンク・フロイド超合金武装の如きヘヴィ・ロックンロール×壮麗ゴスペルの妖気。一切の愛想笑いを排した慟哭の如きラストの2曲“About You(NoSongs Left To Sing)”“The MouthOf The Canyon”の凄絶なロック・オーケストレーション。デビュー15年の節目に、祝祭よりも進化を刻みつけた力作。(高橋智樹)
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