N.W.A、ザ・ゲーム、ケンドリック・ラマーらを輩出したコンプトンの近く、LAのサウス・セントラルで、限りなくヒップホップに近い感性を持って育ったR&Bアーティストのタイ・ダラー・サインのセカンド。MCも行ける口でギャング経験もありということで前作はそうしたバックグラウンドを売りにしていたが、今回はR&Bアーティストとして正攻法な作りがメイン・アプローチになっている。
パフォーマンスもどこまでもMC的なボーカルというものになっていて、腹を括った内容がとても心地よい。サウス・セントラル発ということで、ぶっといグルーヴとどこまでもキャッチーなメロディを歌い上げるトラックが冒頭から続くのがとても気持ちいいし、中盤にかけてはしっかりトラップがかったR&Bになっていてかなり手堅い展開だ。
その一方でダミアン・マーリーと共演する“ソー・アム・アイ”のスクリレックスによるエレクトロ・レゲエを聴かせる試みなどはとても刺激的。ジョン・メイヤーのアコースティック・ギターとともに歌い上げる“フェイマス”もしびれる内容でオートチューンの効果を地声で歌い上げるところが最高にかっこいい。(高見展)
本格化し始めたタイ・グルーヴ
タイ・ダラー・サイン『ビーチ・ハウス3』
発売中
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