パーソナルを普遍に鳴らすこと

ジョーン・アズ・ポリス・ウーマン『ダムド・ディヴォーション』
発売中
ジョーン・アズ・ポリス・ウーマン ダムド・ディヴォーション
NYアバンギャルド〜インディ界の才媛という意味ではいわばセイント・ヴィンセントの先輩格に当たるこの人。90年代から数々のバンドを経験し、アノーニを筆頭にバック・メンバー/セッション・ミュージシャンとしても引っ張りだこな彼女にとって06年のソロ・デビュー以来5枚目になる本作は、レトロなソウルを前面に打ち出した前作よりサウンドをストイックに抑えたことでインティメイトなSSW色を強めている。

その意味では初期2作に性格が近い内容と言えるが、ライトなファンク④や⑥の緻密なポリリズム、⑧のトリップホップ味などリズムやグルーヴを重視した作りは聴くほどに深みを増すもので、2年前に発表されたベン・デイヴィスとのコラボ作でおこなったオルタナR&B〜ヒップホップの実験の成果がきちんと反映されている。そうした進化を踏まえて「歌」を新たな形で提示していく果敢な姿勢、そしてジャズ、ブルーズ、フォーク等を柔軟に咀嚼・ハイブリッドする曲作りという意味でも、本作から浮かぶのは80年代以降〜晩年のレナードコーエンの音楽性だったりする。頼もしい後継者になってくれるはずだ。(坂本麻里子)
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