ポップに開眼

家入レオ『TIME』
発売中
家入レオ TIME
デビュー5周年だった昨年は家入レオにとって転換点となった。それまでいつも詞を書いていた彼女が、ドラマ主題歌でもあったシングル“ずっと、ふたりで”で、詞曲を他者(杉山勝彦)に任せた。同曲から始まる新作『TIME』では、13曲中6曲が他者の詞である。デジタル配信の最新曲“Relax”も詞曲は尾崎雄貴。ほかに須藤優、本間昭光という今のJポップシーンを支える人々を作曲陣に迎えた本作は、家入レオのシンガーとしての魅力に重点をおいた内容になっている。

家入の詞も、心情吐露的な私性は少ない。詞と曲の両方を担当した“恋のはじまり”のソロバージョンを収録しているが、これはもともと大原櫻子藤原さくらとのコラボだったし、他者を意識して作ったもの。猫の視点で歌う“だってネコだから”や、“TOKYO”や“ファンタジー”でのトリッキーな言葉づかいなど、遊び心が感じられる作風が目立つ。軽快なスカの“TOKYO”など特にそうだが、自己表現というより他者を楽しませようとするポップ志向が前面に出ている。それによって突き抜けた印象がある。気持ちいい作品だ。(遠藤利明)
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