完全に無敵モードに入っているCHAIの快進撃は続く。楽曲のクオリティもライブのパフォーマンス力もどんどん進化している。CHAIなら本当にいつかグラミー賞にまで手が届くのではないかと思えるのが嬉しい。ここまで海外のインディポップ／ロックを一切漂白させることなく、日本においても大衆音楽として力強いきらめきを放つ曲をクリエイトし、ステージでとびきりのエンターテインメントを見せてくれるバンドはいなかった。特に今作は、タフなグルーヴと歌の強度がグッと増している。そして、彼女たちならではのユーモアを振りまきながら誰しもの個性であり生き様を全力で肯定するリリックは、多様性がヒューマニズムのキーワードとなっている時代にあって、老若男女が楽しく口ずさめるものになっているのも素晴らしい。CHAIのテーマカラーであるピンクは、すべてのオンナは誰もがキュートな面を持っているという主張を象徴するものだ。いや、オトコもコドモもロウジンも、コンプレックスを裏返せば自己表現の最大の武器になるということを、CHAIは最高の音楽表現をもって提示し続ける。（三宅正一）