まばゆく壮大なポップ異世界

サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ『アメリカ』
発売中
ALBUM
サーティー・セカンズ・トゥ・マーズ アメリカ

それこそアカデミー助演男優賞受賞に『ブレードランナー2049』出演に……といったキーパーソン=ジャレッド・レトの俳優としての大活躍を考えれば、前作『ラヴ・ラスト・フェイス・アンド・ドリームス』から5年でアルバムが完成したことの方が驚きかもしれない。が、最も驚きと感激を覚えるのはそのサウンドだ。30STMならではのヘヴィかつシネマティックなスケール感を支えていたロックンロールの野性という基本構造に、ハイブリッドなサイバー感で鉄壁の補強とアップグレードを施すことで、その音風景そのものに途方もない輝度とミステリアスなヴァイブを与えることに成功している。ゼッドをプロデューサーに擁した“デンジャラス・ナイト”やホールジーを迎えた“ラヴ・イズ・マッドネス”はもちろん、今作の幕開けを飾る“ウォーク・オン・ウォーター”の時点でポップの異世界への扉が勢いよく開かれる――そんなマジカルな作品であることは間違いない。(高橋智樹)
公式SNSアカウントをフォローする

人気記事

最新ブログ

フォローする