トロイ・シヴァンやイヤーズ&イヤーズらの活躍もあり、普段は不可視な、しかし厳然と存在していた境界線を越えて普遍的な共感を集めながら広がりつつあるクイア・ポップ。そんな新潮流から登場した注目の新星がこのキング・プリンセス、ブルックリン出身の19歳だ。彼女のサウンドの基調はローファイでDIYなエレクトロ・ポップ、でも平坦なシンセのレイヤーでドリーミーな雰囲気を醸すタイプではなく、ふと音が途切れた瞬間の静寂に孤独が滲む、古典的かつ素描的なソングライティングが際立っている。ジェンダーを固定化しない視点で淡い恋心を綴った“1950”を筆頭に、彼女の歌は性差を超えたユニバーサル・ポップであり、同時に極私的なモノローグでもあるわけだが、その二面性は僅か5曲収録のデビューEPである本作でも十分に感じられるはず。(粉川しの)
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キング・プリンセス『メイク・マイ・ベッド』のディスク・レビューは現在発売中の「ロッキング・オン」8月号に掲載中です。
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