バンドの一体感が生んだ快作

スラッシュ『リヴィング・ザ・ドリーム』
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ALBUM

一昨年にガンズ・アンド・ローゼズへ20年ぶりに復帰したスラッシュが、4年ぶりのソロ作をリリースした。基本情報をそう書けば、ガンズがバンド活動、こちらはソロ活動という風になる。でも、実態はやや違う。

彼の単独名義初作品に参加した歌手の1人を起用し、スラッシュ・フィーチャリング・マイルス・ケネディ&ザ・コンスピレターズとして『アポカリプティック・ラヴ』を発表したのが2012年。その2年後には『ワールド・オン・ファイアー』をリリースした。今回の『リヴィング・ザ・ドリーム』も前作後のツアー中に曲を作り始めていたから、ガンズの件がなければ、もっと早く完成していただろう。ボーカルのマイルス以外もメンバーは固定されており、ライブ経験を重ねてきた。快調なペースの活動ぶりである。また、決定権を持つのはスラッシュだが、ジャム・セッションで各人がアイデアを出して曲を練る。バンドらしいバンドなのだ。

アクセル・ローズとスラッシュが組めば、確かにケミストリーが発生する。ただ、ガンズは背負うものが多い巨大プロジェクトであり、どんどん新曲を出す体制ではない。それに対し、スラッシュが創作意欲を思うままに発揮できるのが、コンスピレターズとの活動である。新作はブルースをベースにしたハード・ロックでありつつ、ロマンティックな曲、アンセム、ファンク・ロック、ヘヴィなリフで押す曲など変化をつけている。スラッシュがガンズへ行っている間、腐ることなく自分のバンドで活動していた勤勉なマイルスは、本作でも伸びのある歌声を聴かせる。実力と性格の良さを兼ね備えた逸材だ。そんな相棒と再び組んだスラッシュは、彼特有のノリと歌心を注いだ良曲をアルバムに詰めこんだ。充実作である。(遠藤利明)



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スラッシュ『リヴィング・ザ・ドリーム』のディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』11月号に掲載中です。
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『rockin'on』2018年11月号