20年の道程が見える初期曲新録音集

THE BACK HORN『ALL INDIES THE BACK HORN』
2018年10月17日発売
ALBUM
THE BACK HORN ALL INDIES THE BACK HORN
結成20周年となれば何か特別なことをと皆アタマを捻り、ベスト盤やセルフカバーに落ち着くことが多いわけだが、THE BACK HORNは廃盤になっていたインディーズ時代の作品を新録音でまとめるという手できた。ここで自分たちの原点にたどり着く生真面目さが彼ららしい。それなら当時の音源そのまま出すのもアリだと思うが、新録音したのは当時のベーシスト平林直己から交代して久しい岡峰光舟とのプレイで、自分たちの出発点を見直したかったからではと思う。

収録曲は『何処へ行く』、『風船』、『甦る陽』の3作全21曲。ほとんど演奏していない曲もあるが、“無限の荒野”、“冬のミルク”などライブの定番になっている曲も多い。原曲と聴き比べるとその違いに楽しさ倍増だが、粗削りなメロディや歌詞の若々しい気負いや暗さも、今の彼らが演ることで意味が深まったり、新たな表情やダイナミズムを持つ曲になる。歌や演奏の力量だけでなくバンドそのものがでかくなった手応えだ。こうして過去を俯瞰して、ひとつの流れにまとめたところに、20年の道程が浮かび上がるのがこの作品の妙味だろう。(今井智子)
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