映画『億男』で複雑に交錯する友情の物語に、太陽系外に飛び出したボイジャーのイメージを重ね合わせた流麗なバラード曲“話がしたいよ”。人類の存亡を懸けた闘いを描くアニメ『重神機パンドーラ』の世界観越しに《その心で選んで　その声で叫んで／無様に足掻こうとも　証を輝かせて》とほとばしる生命力をエッジィに響かせたソリッドなナンバー“シリウス”。そして、精緻に編み上げられたハイブリッドなアレンジの随所にロックの熱量とシンフォニックな荘厳さとを共存させてみせた“Spica”――。アルバム『Butterflies』以降は配信シングルとして新曲を積極的に発表してきたBUMP OF CHICKENにとって約3年半ぶりのフィジカルシングルの3曲はまさに、宇宙規模のファンタジックなロマンも細やかな心の動きも等しく楽曲の中に織り込みながら「その先」の壮大な歌の地平を繰り広げる「ソングライター藤原基央」の凄みを改めて立体的に映し出している。ロックバンドとしてもトラックメイカーとしても、『Butterflies』からさらに進化のスピードを上げていることをまざまざと物語る重要な1枚。（高橋智樹）