1年ぶりのリリースは、パノラマパナマタウン初のフルアルバム。彼らの、ロックの爆発力とヒップホップのグルーヴを掛け合わせたサウンドは、さらに、まだこんなもんじゃないとアドレナリンを全開にした野心を燃料に、BPMとひらめきを加速させている。人生に必要だという『情熱とユーモア』を冠し、繊細だけど無鉄砲に、クールに毎日を乗りこなしているようで、実は恐る恐る社会と渡り合ったり、やりたいことよりもやるべきことが押し寄せて頭がパンクしそうになったり、中指を立てたりしてみる、青春期が詰め込まれたアルバムだ。

演奏が白熱して、ライブのような、あるいは即興的で創造性の高いアンサンブルを聴かせていくにつれて、歌がキャッチーさを増す。といっても、いわゆるサビのフレーズのような繰り返しがあまりない。リアルな心情や思考の流れそのままにどんどん展開していく歌、あるいはラップで、音とともに肉感やさまざまな感情の匂いを立ち上らせていくのが、このバンドならではの生々しさであり、スリルだ。バンドの姿を刻印した、その熱が伝わってくる。（吉羽さおり）