英国のLCDサウンドシステム?

スタッツ『アザー・ピープルズ・ライヴズ』
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ALBUM
スタッツ アザー・ピープルズ・ライヴズ

スタッツはロンドン発の6人組シンセ・ポップ〜ダンス・バンド。中心人物はフロントマンのエド・シードで、2013年にシングル・デビュー、2016年に9曲入りのカセット・アルバム『Temping』を自主制作しているが、本作が正式なファースト・アルバムということになるのだろう。ザ・ゴー!チームを輩出したロンドンの〈メンフィス・インダストリーズ〉からのリリースだ。

80年代風のシンセ・ポップを基本に、90年代風アート・ポップや70年代ディスコ、キッチュなグラム・ロックのフレイバーを振りかけたようなサウンドが持ち味のよう。曲によってはプリンスディアンジェロなどに通じるファンク風味も聞かせるし、自らダンス・バンドを名乗るだけにダンサブルなビートはアルバム全体にしっかり貫かれているが、たとえば!!!のように荒々しい熱気溢れるというよりは斜に構えた批評感覚が強い。メロディはポップで人懐っこいが、どこか脱力したシニカルなユーモア感覚も感じられる。人生や生活について考察した歌詞にも注目したい。個人的に一番近いと思ったのがザ・カーズLCDサウンドシステムで、プレス・リリースにロキシー・ミュージックペット・ショップ・ボーイズと共にLCDの名が挙げられているのは納得だ。

「今行っていることに対して自分自身を捨て去り、全く計画していなかったことに同期する6人の特別なエネルギーによってのみ、インスピレーションの瞬間はとらえることができる」とエドは語っているが、予断を捨て湧き上がる衝動とその場のフィーリングに忠実に作り上げたということだろう。そのわりにこぢんまりとまとまっていて革新的とか実験的とか破天荒という音楽ではないが、長く付き合えそうな作品だ。 (小野島大)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』4月号に掲載中です。
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スタッツ アザー・ピープルズ・ライヴズ - 『rockin'on』2019年4月号『rockin'on』2019年4月号
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