前作『daydream』から約2年半、ベスト盤『blanc』『noir』などを経て、Aimerが新たに完成させたアルバムは、「太陽」と「雨」をテーマに掲げた同時リリースの2作品。タイトなダンスビート以上にその歌でしなかやに跳躍してみせる“ONE”や“Monochrome Syndrome”、《悲しい時こそ　寂しい時こそ／大事なことがあるんだよ》と歌いかける言葉越しにやわらかな包容力を感じさせるポップバラード“コイワズライ”など、全編を通して胸躍る朗らかな風景を描き上げてみせた『Sun Dance』。一方、“I beg you”“i-mage〈in/AR〉”のようなダイナミックな楽曲、“花の唄”“Black Bird”といった壮麗なバラード曲など、ドラマチックなスケール感に満ちたサウンドスケープの中で、その歌の翼をどこまでも広げてみせた『Penny Rain』――。まったく色彩感の異なるふたつの音楽世界が乱反射し合いながら映し出すのは、「ひとりの人間のパーソナリティの表現」の域を越えて、僕らの喜怒哀楽すべてを受容して目映い音楽へと昇華する、抗い難い神秘性すら帯びたAimerの歌声の強さと優しさそのものだ。（高橋智樹）