熱病の如き興奮の中で音楽を

オブ・モンスターズ・アンド・メン『フィーバー・ドリーム』
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オブ・モンスターズ・アンド・メン フィーバー・ドリーム

彼らを世に知らしめた “リトル・トークス”に引っ張られた形での「牧歌的でユーフォリックなフォーク・ロック・バンド」というイメージから脱皮し、元来宿していたモダンなロックへの感性を前面に打ち出したのが前作『ビニース・ザ・スキン』であり、その挑戦は全米3位という快挙をもって歓迎された。そんな前作に引き続きミューズデス・キャブ・フォー・キューティーフォスター・ザ・ピープルなどを手掛けるリッチ・コスティをプロデューサーに迎えた本作では、さらにピカピカのロック/ポップ・サウンドへと磨きがかけられている。とにかくどの曲にも明確なフックがあり、メロディが楽しく、サウンド・プロダクションも抜かりがない。ものすごくウェル・メイド。これは一貫性ある進化のようにも思えるが、2017年の春から約2年間という長期にわたる制作期間は、彼らにとって変革の季節であったようだ。これまでの5人でのセッションによる曲作りから、個々がパソコンでアイデアを考えた後にそれをシェアするスタイルへ移行し、これによって過去になかった曲想を捻り出していったというのだ。リリックについても、ツイン・ボーカルのナンナとラグナルが今回初めて個別に書いたことから、彼らの私的な心情がダイレクトに表現されたラインが増えている。例えば、先行シングル“アリゲーター”のコーラスで、ナンナは高らかにこう歌い上げる。《私を目覚めさせて/熱に浮かされているの/もう理性を失いそう/熱に浮かされて》。つまり、彼らは、デビュー〜ブレイクを経て「仕事」となった、なってしまった音楽に対し、夢中で居続けるために、「熱に浮かされていられる」ために、必死で試したのだ。試行錯誤した。その結果、それに成功したのである。このアルバムで鳴っているのは、そんな喜びと確信だ。 (長瀬昇)



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ディスク・レビューは現在発売中の『ロッキング・オン』9月号に掲載中です。
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オブ・モンスターズ・アンド・メン フィーバー・ドリーム - 『rockin'on』2019年9月号『rockin'on』2019年9月号
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