“青と夏”“僕のこと”“ロマンチシズム”“インフェルノ”“lovin'”といった既発曲群も含むMrs. GREEN APPLEの「今」を、5人は全17曲というボリュームのアルバムへと結実させた。聴く者を誰ひとり疎外しないポップミュージックとしての大衆性と、誰も到達できない高みを目指して己の生命と瞬間を最大限に燃やし尽くそうとする大森元貴の音楽家／アーティストとしての闘争精神……その両面が渾然一体となって、バンドサウンドもEDMもクラシックも呑み込んだ「極彩色の聖歌」とでも形容すべきダイナミズムと壮麗さを、アルバムの隅々に至るまで炸裂させてみせた。感動的なまでの劇的進化作だ。

2ビート＆4つ打ちのスリルがラウドなサウンドとデッドヒートを繰り広げる“Ke-Mo Sah-Bee”。日常に潜む神秘をミクロとマクロの視点から情熱的なピアノバラードとして歌い上げた“Circle”。全編クライマックスの如きアルバムの最後、ミディアムテンポのビートとともに涙と悲しみの「その先」を生きる者すべてを祝福する“Folktale”――。覚醒感の高純度結晶の如き名盤。（高橋智樹）